幾度も中国から金をもらいながら
なぜか罪に問われなかったクリントン夫妻

 この部分は、かなり衝撃的だ。なんとFBIは、「クリントン夫妻と人民解放軍スパイ機関が協力関係にあることを知っている」という。では、なぜヒラリーは、オバマ政権で国務長官を務め、民主党の大統領候補になれたのか?この答えは後述する。ここではさらに同書で描かれているヒラリーと中国の関係を押さえておこう。

 ヒラリーの夫ビルは1992年、「中国の金も」使って大統領選で勝利する。さらに1996年、またもや「中国の金も」使って再選を果たした。

<クリントン夫妻は一九九二年の大統領選に出馬したとき、リアディから少なくとも(後に判明しただけでも)一二五万ドルの賄賂(違法な政治資金)を受け取っている。
一九九六年の大統領選挙では、リアディ(リッポ・グループ)からクリントン夫妻へ、はるかに巨額な賄賂が動いた。>(261p)


 そして驚くべきことに、「クリントン夫妻が中国から金ももらっていたこと」が「公」にされた。しかし…。

<一九九七年にこの事実が明るみに出たとき、クリントン夫妻は、「われわれはカネを受け取ったかもしれないが、何も憶えていない。誰がカネを出したのか、われわれは何も知らない」と言い張って、逃げてしまった。>(261p)


 ここで、再度疑問がわく。なぜクリントン夫妻は、中国から違法な金をもらい、しかもFBIがそれを知りながら、罪に問われないどころか、出世し続けることができたのか?

<一九九二~九六年のFBIとNSAの盗聴活動により、中国政府の首脳部が米国政界に対して大規模な贈賄工作を実行していることは明らかであったが、国務省・ペンタゴン・司法省・CIAは、この大規模な贈賄工作を止めることはできなかった。たぶんこれらの組織は、政治的な理由から動けなかったのだろう。>(278p)

「FBI」「NSA」は知っていたが、「国務省」「ペンタゴン」「司法省」「CIA」は、「政治的な理由」から動けなかった。(!)

 伊藤氏は、さらに解説をつづける。


<米民主党の政治家たちが中国から収賄しているというニュースがアメリカのマスコミに載るようになったのは、一九九六年後半である。(中略)この大規模な贈賄工作が、中国政府のスパイ組織による深刻な外交問題であるという解説記事が米マスコミに載るようになったのは、一九九七年の春以降のことである。>(279p)

 これを受けて、FBIは事実関係の調査に乗り出した。ところが…。

<しかしFBIと連邦政府検察官による贈賄事件の捜査は、数か月しか続かなかった。
一九九七年初頭、ホワイトハウスの命令を受けた司法省が、この件に関する捜査を打ち切る決定を下したからである。>(279p)

 しかも、「露骨な圧力」があった。

<この事件の捜査を続行するために独立検察官を任命することを主張したキャリア検察官、チャールス・ラベラは、即刻、解雇された。他の検察官たちはラベラが即座にクビになったのを見て、「この事件には、深入りしないほうがよい」と理解した。>(279p)

 ここで分かるのは、「米国は三権分立の確立された理想的な民主主義国家」というのが「幻想だ」ということだろう。米国においても、中国やロシアと同様、「政治」が「司法」より強いのだ。