あなたにとって大切な3人とは?

「どんな状態が幸福なのか」を感じることはできただろうか?

 次に考えたいのは、「どんな人といることが幸せなのか?」ということだ。

 私たちは「大切な人は誰か?」と聞かれれば、まずは家族であったり、恋人であったり、友人であったりという人を考える。

 しかし社会をつくって生活している人間は、家族やパートナーのような人との関係が万全なだけでは、幸福を感じることができない。かえって他所で感じたストレスを家族にぶつけたりすることまである。

 ただし、家族と会社の関係を比べたとき、会社のほうが重要だと答える人は少ないだろう。人間関係のウエイトはすべてが平等なのでなく、バランスをよくすることが大切なのだ。

 バランスを保つために重要なのは、「3種の大切な人」を自分の人生において確立するということである。

 この「3種」ということの根拠は、仏教の経典による。別に私は敬虔な仏教徒ではないが、その教えの中にある「悲田、恩田、敬田」という“田んぼ”にたとえた定義は、幸せを感じられる人間関係をつくるのに絶好のヒントを与えてくれる。

 どうして「田」と表現するかといえば、田んぼに種もみから育てた苗を植えれば、その何百倍にもなってお米が収穫できるということからだ。

 それぞれ説明しよう。

悲田……「この人たちの悲しむ顔は見たくない」という最も密接な関係、言い換えるなら「絶対にこの人たちを幸せにしたい」と思える人、と私は解釈している。家族や恋人、あるいは親友のような関係は、ここに当てはまる

恩田……お世話になった人やお世話になっている人、その人を思い浮かべると感謝の気持ちが湧き上がってくるような、恩を感じる人々

敬田……尊敬している人、その人を通じて学びたいと思っているような人々