私は、教え合う文化を通じて、1人1人が活躍できる組織づくりに貢献したいと考えています。私は、事業会社の人事の経験が長いため、1人1人が成長し、組織のなかで活躍することの大切さを肌で感じてきました。

 教え合う文化を築くうえで大事なことは、「点」ではなく「面」で教育するということです。1人の指導者の力で社員を一人前に育てるには、限界があります。1人の社員を、より多くの社員が余剰時間を活用して育成することで、育成負担が軽減し、社員みんなで教育することが可能となり、教え合う文化につながっていきます。

点ではなく面で教育するために
研修を内製化するのも有効

 そのために、社員のなかから、「教えたい、自分の経験を役立てたい」という方を募る必要があります。例えば、研修を内製化し、社内講師を育成するのも有効なアプローチです。彼らの現場の知見を研修プログラム化して、全社に還流させ、より多くの社員が希望すれば、いつでもどこでも学べる学習の環境を用意するというアプローチです。

 もちろん、環境の用意だけでなく、学んだことを職場で行動に移し、成果につなげるという“研修転移” (Transfer of Training)を促す上司の育成マインドを高める働きかけも必要となります。

 しかし、教えてもらう環境が充実するだけでは、教え合う文化を創ることはできません。与えられた環境に依存せずに、自ら主体的に学び、成果に結びつけようとする「個」のリーダーシップを開発することが必要です。教え合う文化は、教えてもらう側の「個」のリーダーシップ開発があって始めて機能するのです。

 本連載では、これからの変化の時代に、人を育てることに高い意識を向けている企業が、どのように人を育て、教え合う文化を築いていこうとしているのかについてまとめ、発信することにしました。

 第1回に登場するのはジュピターテレコムです。社員を活かす企業内大学を構築し、新人研修の多くを内製化することを通じて、「J:COM愛」豊かな社員を育てています。同社人事本部の川村豊人財開発部長に話をうかがいました。