グローバルなリスク・オフから
リスク・オンに

 11月になったが、まだ比較的暖かい気候が続いている。こうした冬になる前の暖かい気候を、日本では小春日和という。また、米国ではインディアンサマーと呼ぶこともある。

 足もとの金融市場は、それまでの混乱から「温かさ」を迎えているが、それは春の訪れを示す兆しなのか、それとも冬の前の小春日和・インディアンサマーなのか。

 欧米では7月以降、金融市場の不安と緊張が続いていた。米国では年半ば以降、米国の債務上限問題に伴う二番底懸念が存在したが、9月にFRBがツイス・オペでの緩和を行なったこと、10月に発表された雇用統計が予想を上回るものだったことから、安心感が生じている。

 世界的な不安の震源地であった欧州では、10月27日に包括策が合意に達し、ギリシャの債務削減や欧州銀行の資本増強策が決まって、安心感が生じた。

 2011年の市場環境は、グローバル規模での不安が強まるなか、投資家はリスク資産を回避する「リスク・オフ」モードで株価低下、債券金利低下となり、一方、政策実施で市場の不安が後退すると、一転して、「リスク・オン」モードとなって、株式の買い戻し、債券が売られ金利上昇が生じた。

 今年半ばから9月までのグローバル市場は、欧米での不安からリスク・オフ状態が強まり、株価下落・金利低下となったが、下期は欧米での安心感の醸成から、リスク・オン状態に戻っている。

 日米の長期金利はいずれも節目となる、米国10年の2%、日本の10年の1%の水準にあっただけに、一旦、リスク・オンの戻ったなかでは反動上昇が生じやすい環境にある。