地域ケーブルテレビ局のM&Aを次々に行い、急成長を遂げた業界トップのジュピターテレコム。「地デジ特需」後の戦略を聞いた。

ジュピターテレコム(J:COM)社長 森 修一<br />地デジ特需後に目指すは顧客フォローとネット拡大Photo by Toshiaki Usami

──2011年を振り返ってどんな1年だったか

 3月に社長に就任し、まず始めたのが現場の意識改革だ。

 われわれの強みは営業部隊。約2500人が日々、およそ1万世帯のインターホンを押して新規契約を獲得してきたことにある。

 しかし、前のめりになり過ぎた感があった。そのため「契約は取るまでが半分、取ってからが半分」と伝えた。顧客のアフターフォローをきっちりとやることで、解約者が減るからだ。

 その一環としてコールセンターの体制を強化した。電話応答率が80%を切り、困ったときに電話がつながらなかった。人員を170人増やすと、8月には応答率が90%を超えて、他企業並みとなった。

 加えて組織改編で部署の壁を取り払い、たらい回しも減らした。その結果、10年1~3月に1.21%だった平均月次解約率は、11年7~9月に0.92%まで改善、いまや史上最低の水準だ。

──地上デジタルテレビ放送移行に伴う特需は終わったが、成長戦略をどう描いているのか。

 じつは、われわれのケーブルにつながっている世帯は全国に約900万世帯もある。対して加入世帯はまだ約360万世帯でその差は540万世帯。つまり宝の山と呼べる潜在顧客が眠っているのだ。