「売れない」――このことに苦労しているセールスパーソンは数えきれません。その一方で、確実に売上を伸ばし、常に上位の成績を誇っている人がいます。トップセールスと呼ばれる人たちです。営業に関連する本の多くは、著者の実績に紐づいた方法ですが、『3万5000人を指導してわかった質問型営業でトップセールスになる絶対法則』は、「トップセールスの共通点」を見出し、「トップセールスになる絶対法則」を伝えるものです。属人的な内容を「誰でも使える技術」としてまとめました。
本当にすごい人たちはいったい何をやっているのか? 極力わかりやすくお伝えすることに成功しました。AIやサブスクリプションなど、セールスパーソンを介さない営業手法は開発されていますが、セールスパーソンの役割は減るどころか、ますます重要性を増しています。ぜひ、最強の営業力を身につけて、営業を「楽しくうれしく感動的なもの」にしていきましょう。

トップセールスは医師と同じように、
お客様からいつもお礼を言われる

 大御所の歌手が、「お客様は神様です」と言ったのは有名な話です。しかし、営業の世界では、お客様は神様ではありません。

 では、お客様とは何でしょうか。お客様は何を求めているのでしょうか。

 個人的なことであれば、今よりもよい生活、より豊かで充実した時間を求めます。会社であれば、事業をさらに発展させるための方法、そのための具体的なノウハウ、手段などを求めています。

 お客様はよりよくなることを望んでいるので、そこで活躍するのがセールスパーソンです。

 セールスパーソンはお客様の現状を把握したうえで、お客様の要望を聞きます。どんなことに満足するのか、もしくは喜んでもらえるのかを明確にしたうえで、自信を持って提案すべきです。

 決して、お客様はこういうものを望んでいるはずだと、憶測で提案してはいけないのです。

 お客様の現状を把握することは、医師が患者を診察するのと似ています。誤診は許されません。憶測で病状を伝えることもタブーです。よく聞いて、よく検討して、専門医として答える必要があるのです。

 医師と分野は違いますが、それぞれの分野の専門家として、あなたはお客様の望みを聞き、状況を聞き、的確な回答をお客様に与える必要があるのです。

 多くのセールスパーソンは、この意識を持っているでしょうか。セールスパーソンとしてのあなたは、お客様にとって自分の問題を解決してくれる重要な人なのです。ですから、セールスパーソンは医師と同じ立場であり、お客様は患者と同じなのです。

 トップセールスは、よくわかっています。医師が患者から感謝されるように、トップセールスもお客様からいつもお礼を言われるのです。

 なぜならば、トップセールスから売ることはないからです。トップセールスはいつも、お客様である患者の状況を聞くことから始めます。お客様の状況をしっかりと聞き取り、そこに役立つことがセールスパーソンの役割であるとわかっているのです。

 すべてのセールスパーソンはこうあるべきです。「セールス」「営業」という名刺を出しただけでお客様が身構えてしまう状況は、今までのセールスパーソンが、いかにお客様の状況を聞かずに強引に商品を押し付けてきたかを如実に示しています。

 もし、そのような医師がいるとしたら、あなたは二度とその病院へ行くことはないでしょう。反対に、一人ひとりに寄り添い、現状を聞き、その状況に共感し、気持ちをわかってくれる医師であれば、それだけで足を運びたくなるのです。

 このような姿勢でセールスパーソンがお客様に接することができたら、誰もがトップセールスになるでしょう。

 スタートは、お客様という患者の話を徹底的に聞けるかどうか。お客様という患者の現状や表情、気持ちなどからすべてを理解するために、全身で聞き切る覚悟を持って臨むのです。

今日の格言

真のトップセールスは
セールスパーソンとお客様の関係性を
医師と患者の関係性に
昇華させている