自動車部品の高度な試作技術を生かし大ヒット雑貨を次々と開発

――昨年9月に発売した「ライフマスクサポーター」が好調だそうですね。

鳥越 テレビで紹介されたら、問い合わせの電話が鳴りやまなくなりました。年間100万個を販売目標に掲げたのですが、おかげさまで、半年間で60万個が売れています。

――どんな製品ですか?

鳥越 不織布マスクを立体的な形に保持するプラスチック製のフレームです。マスクの内側に装着すると、マスクと口鼻の間に空間ができ、楽に呼吸ができるようになります。蒸れにくくメガネが曇りにくくなる効果もあります。一度使ったら手放せなくなりますよ。

 シンプルに見えますが、プラスチック製のフレームが肌に触れない構造を作るのに苦心しました。

――創業当初から、このようなオリジナル製品を作っているのですか?

鳥越 いえ、弊社は1984年に創業したのですが、もともとは自動車用樹脂部品の試作品の製造から始まった会社です。例えば、自動車メーカーから提示された仕様に基づき、試作車に装着するハンドルをいくつか作ります。高度な要求にお応えするために3次元CADを90年代から導入し、3Dプリンターも光造形機と呼ばれている時代から保有していました。

 創業から15年はその事業だけを手がけていたのですが、98年から、健康・美容関連の製品開発にも乗り出しました。

自動車部品の高度な試作技術を生かし大ヒット雑貨を次々と開発代表取締役・鳥越豊氏。1955年、佐賀県生まれ。大阪府立佐野工業高校を卒業後、東洋タイヤコード(当時)、愛知県プロパンガス協会(当時)、松島樹脂を経て、84年に個人創業。88年に鳥越樹脂工業を設立し、社長に就任。

――そのきっかけは?

鳥越 自動車の開発手法がアナログからデジタルに変わり、試作品のニーズが激減してしまったことです。生き残るために考えたのが、「自社で高度な製品の設計・デザインができる」という強みを違う分野に生かすこと。その一つが、健康・美容関連製品でした。

 最初は通販会社の要望を受けて製品を開発することからスタート。最初の仕事が、座っているだけで骨盤のゆがみを矯正できるというウレタン樹脂製のクッションだったのですが、これがいきなり大ヒットしまして。「試作品をすぐに作ってくれてありがたい」と高い評価を頂き、以来、通販会社の依頼でさまざまな製品を開発するようになりました。