意識は商業部門持つ信託銀行<br />合併2年目こそ真価問われる<br />りそな銀行社長 岩田直樹Photo by Kazutoshi Sumitomo

──今年の4月で、りそな銀行とりそな信託銀行の合併から1年がたった。

 順調なスタートで、合併の効果は数字に表れている。企業年金の新規獲得件数は2008年度と比べて約2倍、金額は約2.5倍になった。商業銀行でも扱っていた遺言信託も、件数が約1.5倍に伸びた。

 行員には信託併営銀行というよりも、商業部門を持つ信託銀行だと思えと言っている。今の名称は“りそな銀行”だが、本当は合併時に“りそな信託銀行”と名乗りたかったくらいだ。

 われわれの使命は信託機能の“大衆化”を後押しすることだ。たとえば高齢化で遺言信託は増えるし、中小企業を中心とした事業承継への対応など、信託は今よりもっと身近なものになる。そこで専業の信託銀行のように、大企業や超富裕層を狙うのではなく、店舗網を生かし中間層にも広くアプローチしている。さらに製販一体となったことで、本当の現場の声が拾えるようになった。商品開発力にあらためて自信を深めている。

──今年度の目標は。

 合併の真価が問われるのは2年目。信託では事業や顧客に対する長期的視点が重要なので、二つの新しい評価制度を導入した。