渋滞している高速道路の車の数を考える
次の問いは推測である。
Q この高速道路は、東京に向かって、ずっと3列で進んでいる車が、10kmにわたって渋滞しています。この東京に向かっている渋滞の中に、車はおよそ何台いるでしょうか。
また、どのように考えたのかを説明しましょう。
ただし、オートバイについては考えないことにします。
これは大人の世界でも仕事などで問われる類の問題かもしれない。小学生がこのような問題にどのようにアプローチしたらいいのだろうか。
問題を解くときに必要な条件を見つけることができるかがまず問われる。ここでは車長と車間距離がそれに当たる。
10km=1万mという距離が設定されているので、データとして、車種による標準的な長さが与えられる必要がある。軽自動車4m、セダンタイプの乗用車5m、中型トラックは8~9m、大型バス9~11mといったところだろう。
これに車間距離という要素も加味する。1台分ほどの隙間が前後の車両との間にありそうだ。写真を見る限り、乗用車タイプが圧倒的に多いので、車長5m、車間距離を同じく5mとして、1台あたり10mだから、1万m÷10m=1000台、これが3車線あるから1000×3=3000台、というのが一般的な解答になるかもしれない。
車間距離を4mと考えると、また答えも変わってくる。1つの問題を考えるときに、いろいろな条件を設定して見る力を測ることもできる。友だちと答えを出し合い、お互いの視点を比べてなぜそうなるのかを考えることも探究型の問題では大切な視点となる。
ここまで挙げた2つの問いは、いずれも「探究オリンピック」で出題された問題である。こうした理数的な思考力を競う「探究オリンピック」は、今年は11月中旬の日曜に予選が行われ、12月6日に決勝が行われる予定となっている。詳しくは、主催の探究オリンピック委員会のサイトをご覧いただきたい。問い合わせ先は、tanqolimpiad@gmail.comとなっている。
数学関連の有名な大会としては、公益財団法人数学オリンピック財団が主催する日本数学オリンピックと日本ジュニア数学オリンピックがある。後者は中学生以下が対象となっている。前者は国際数学オリンピックへの出場権もかかっており、例年、日本を代表する難関高校の受賞者が世界相手に競っている。ここでメダルを得ると、東大の学校推薦型選抜などでの応募で有利にもなる。
まずは、小学生のときから、探究型の問題に慣れて、世界的な大会への出場につなげていくこともいいのではなかろうか。
なお、細水先生の「算数好きに育てる7つの視点」の記事は、7月14日発売のダイヤモンド・セレクト2020年8月号「本当に子どもの力を伸ばす学校」に掲載されているので、併わせてご覧いただきたい。