誰が一番本を読んだのか?

 まずはこのような設問から見ていこう。

 Q この小学校の図書委員会では、みんながもっと本を読むように、本をたくさん読んだ人に賞をあげることにしました。
 表は、ありささん、かすみさん、さとしさん、だいきさん、ちなつさん、はるかさん、ひろしさん、まゆさん、ゆみさん、りょうさんの10人が、9月から11月の間に読んだ本の冊数とページ数を整理したものです。

10人のうち、誰が一番たくさん本を読んだのか?
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(1)「たくさん読んだで賞*」をあげたい人の名前を答えましょう。
  *もっともたくさん本を読んだ人にあげる賞

(2)さらに2つ、賞をつくりましょう。どのような賞かを説明しましょう。また、その賞をあげる人の名前と、お友だちにわかりやすくするための理由も説明しましょう。

 表をご覧いただければ分かるように、各自各月の読んだ本の冊数と合計ページ数が列記されている。この表を見て、どのような判断基準で受賞者を決めるかが問われるわけだ。

 小学生になった気分で、考えていただきたい。何冊読んだから○○さん、というのが一番無難な決め方かもしれない。同じ一冊でもページ数が異なるから、その点も加味した方がいいという意見も出てくる。冊数ならちなつの21冊、合計ページ数ならまゆの4000ページが最多となる。「たくさん読んだで賞」はこの2人のどちらでも「正解」となる。

 次の問いは、さらに2つ別の賞をつくり、受賞対象者とその理由を説明するというものだ。これは「たくさん読んだ」とは異なる観点で評価しないといけない。つまり、新たな観点が必要となる。

 例えば、月ごとの推移を見て評価する観点がある。9月にたくさん読んだのはひろしで、冊数も合計ページ数もダントツである。同様に10月はちなつ、11月はさとしがMVPのような存在となる。

 あるいは1冊平均のページ数に着目する観点もある。分厚い本は一般に難解なことが多い。とすると、平均で一番多い450ページとなるはるかは、手ごたえのある本を読んだという可能性もある。

 月を追うごとに、読書の分量が増えている人という観点もある。この場合では、かすみやゆみが該当しそうだ。

 このようなさまざまな観点で賞をネーミングし、受賞者を決めて、それがデータと合っているかを説明する力。そのようなものが総合的に問われる。もはや算数の問題という感じがしないかもしれない。