難関上位校が好調な千葉県3つのホットスポット
20日からは千葉県での一般入試が始まる。直前の情勢をまずは千葉私立御三家から見ておこう。例年県内で最も多くの受験生を集める市川の20日1回は、〆切の16日に向けて駆け込み出願が見られ、23年の2679人にあと一歩に迫る2621人となった。四模試の予想倍率では男女共に緩和傾向だったが、健闘したといえる。バランスの取れた良問と入試問題の評価が高い東邦大学付属東邦は、21日前期が前年より10人多い2276人で確定した。
県内でも別格感があり、東京からの受験生も多い渋谷教育学園幕張(渋幕)は、22日一次が2059人で確定した。前年より男子が90人増の1427人、女子が18人減の632人となっている。東京の難関校が全体的に志願者減少気味という観測が流れる中、たいしたものである。
千葉県で1000人を超えるもう一つの入試が、渋幕の隣にある昭和学院秀英の22日1回である。四模試では男子は緩和気味だったものの、15日現在、1357人と前年より+3%弱となっている。20日に幕張メッセで開かれる市川1回の終了後に、歩いて受験可能な20日午後特別は同+9%の690人と、やはり好調である。
これら難関上位校以外で、順調に志願者を増やしている24年の千葉県の入試は数少ない。比較的好調なのが、いずれも市川市にある2つの女子校だろう。和洋国府台女子は、20日1回が703人で前年比+5%となった。それでも23年実倍率1.2倍と同程度の受けやすくて受かりやすい状況が続きそうだ。
一方で、東京女子大・日本女子大・昭和女子大との高大連携が23年度から始まった国府台女子学院は、21日1回が16日現在981人と前年比+15%になっている。〆切が18日なので、1000人超えも視野に入った。四模試での予想通り、実倍率も23年の1.6倍より上がりそうな情勢である。
同じ市川市内では、昭和学院も前年を若干上回る入試が出そうだ。17日〆切の20日国語1科は16日現在223人と前年実績をすでに上回っている。女子人気が高く、四模試の予想倍率は4倍超えとなっていた。20日午後の算数1科も23年実績308人にあと5人となっており、前年並みとなりそうだ。この入試は、男子の予想倍率が4倍台半ばに、女子も4倍超えの可能性が指摘されていた。
千葉明徳(千葉市中央区)は20日の適性検査型が初回入試となる。15日現在で、出願者数は前年比+17%の288人とたいへん好調だ。この入試の応募者の8割は市川会場で申し込んでおり、その点で市川市の学校と同様と考えていいだろう。
出願状況を公表しない東海大学付属浦安は、四模試の志望者動向では男女共に予想実倍率が上向き傾向だった。一方、千葉日本大学第一は緩和傾向が続いている。
柏市と松戸市のJR常磐線沿いには、他大学進学指向の強い付属校が集まっている。基本的には地元需要の受験生が多い。24年は開校2年目の流通経済大学付属柏、そして二松学舎大学付属柏が比較的好調で、23年実績を超える入試回も出てきそうだ。一方、芝浦工業大学柏は夏以来ペースダウンが続いており、13日現在の出願状況を見ても前年比8割程度と勢いがなく、18日からの〆切に向けた追い込みが期待される。
松戸市では、夏の甲子園大会に出場した専修大学松戸が、四模試でも指摘した通り、総じて大きく緩和しそうだ。近年好調だった光英VERITASは、20日1回こそ前年並みになりそうだが、20日午後の理数特待選抜と同日程で新設した探究のいずれも〆切1週間前の段階では期待していたほど集まっていない様子がうかがえる。そういう意味では、狙い目の入試なのかもしれない。
例年大人気で、どの回も高倍率が並ぶ柏市の麗澤はどうか。四模試の予想倍率ではこちらも緩和傾向だった。現状では、前年実績比7割程度とスローペースの出願状況となっている。21日1回から始まって、いずれの入試回も当日朝6時まで出願を受け付けているので、最後まで情勢は読めないものの、例年の4~5倍が当たり前の実倍率が緩和してくれれば、受験生としてもいささか心がやすまるかもしれない。
千葉の24年入試は、これまで見てきたように、千葉市美浜区と市川市と柏市という3つのホットスポットでの勢いに注目していきたい。