アクティブリスニングとは何か

 これから紹介するのは、カウンセリングの父と言われるカール・ロジャース博士が提唱した、「非指示的な聴き方」という手法です。

 この聴き方には2つのアプローチがあります。1つは、心を汲みながら、相手の話を鏡のように告げ返していく「アクティブリスニング」。もう1つは、真剣に話を聴いていることを相手に示す「パッシブリスニング」です。

 【アクティブリスニング】
 ・心を汲みながら、相手の話を鏡のように告げ返していく技術

 【パッシブリスニング】
 ・真剣に話を聴いていることを相手に示す技術

 今回は「アクティブリスニング(能動的な聴き方)」について、事例を交えながら述べていきます。

単なる「繰り返し」ではなく
部下の言葉を「確認」する

 「助言型の過剰な関わり」にはまり込んだ、こんな会話があったとします。

 「○○リーダー、実は私、仕事に行き詰っているんです」

 「そうか、行き詰ったら冷静になって、自分の置かれている状況を把握することだよ」

 「はあ、でも…、その…」

 「まあ、君はまだ若いから、どんどん悩んだほうがいいよ」

 日常よく耳にする、上司と部下の会話です。こうした聴き方では、部下は自分の言いたいことが押さえ込まれ、心の中に不満や悩みをため込むことになります。

 これに対して、アクティブリスニングを使った場合はどうでしょうか。上司と部下の会話はこんなふうになります。

 「実は私、最近どうも仕事が上手くいかなくて」

 「君は何か仕事に行き詰まりを感じているようだね」