真壁昭夫
コロナショックによる経済の低迷や、米・中の対立の激化などにより世界の貿易取引が減少している。貿易量の減少は世界経済全体にとって大きなマイナス要因だ。輸出依存度の高い諸国、特に韓国経済にとってかなりの逆風だ。

コロナショックを境に、国際社会における米国と中国の対立がし烈化している。WHOをはじめ国際機関において中国が発言力を強めているのに対し、米国のトランプ大統領は脱退をも辞さない強い姿勢を示している。

4月、韓国では、一旦、新型コロナウイルスの感染拡大が一服したかに見えた。総選挙に勝利し左派政権の基盤強化を達成できた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「自らの感染対策は世界標準であり、同国が世界をリードする」と強調した。それに伴い韓国政府は経済活動を再開したが、5月に入りソウルのクラブで集団感染が発生した。国民の間でも、新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」への懸念が高まっている。

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最近、今年1~3月期の主要企業の業績が発表され、コロナ禍の渦中での各国の主要企業の収益状況が明らかになりつつある。その中で、わが国と欧州の主要企業の業績が前年同期比で7割から8割減と大きく落ち込む一方、5Gや通信分野に強みを持つ米国や中国では企業の純利益が前年同期比で4割程度減少と健闘していることが注目される。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、現在、世界経済は第2次世界大戦後に経験したことがない重大な変化に直面している。その動きは早く、しかも振れ幅が大きいため、対応するのが難しい状況になっている。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界規模で主に2つの変化が起きている。一つ目は、グローバル化が進む中で各国が抱えてきた、成長率の鈍化などの問題が浮き彫りになっていることだ。

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的に大混乱が発生している。その混乱が、これまで国際社会が抱えてきた多くの問題や無理の一部を顕在化している。コロナショックがトリガー(引き金)となり、グローバル化の「負の側面」を浮き彫りにしていることだ。

日々、人々の心理の中で、新型コロナウイルスをめぐる楽観と悲観が交錯している。株式や為替などの金融市場の動きをみると、それがよく分かる。

世界中でコロナショックが猛威を振るっている。中国湖北省武漢市で発生したとされる新型コロナウイルスの感染は、世界中で非常事態宣言が発せられるなど今まで経験したことのない異常事態を巻き起こしている。

新型コロナウイルスの感染が世界に広がる中、隣国である韓国の経済状況が心配だ。文在寅政権は自国経済を守ろうと必死なのだが、3月に入り韓国から投資資金の流出が顕著になっている。一時、韓国の通貨ウォンの対ドル為替レートは過去10年間の安値を更新し、韓国総合株価指数(KOSPI)はリーマンショック発生直後の水準にまで下げた。

韓国や、イタリアをはじめとする欧州各国さらには米国で、新型コロナウイルスの感染が続いている。その勢いはなかなか衰えを見せず、各国政府とも感染の拡大に躍起になっている。それに伴い、人々の動線は大きく阻害され、実態経済・金融市場にも深刻な影響が出始めている。中でも、韓国とイタリアで新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した背景には、いくつかの共通点がある。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済全体で景気後退への懸念が高まり始めた。特に、ここへ来て原油価格が下落したことは軽視できないリスクだ。問題は、原油価格の下落を契機に米国の経済に下押し圧力がかかる場合、米国経済の安定に支えられてきた世界経済全体で需要が冷え込むことは避けられない。それが現実のものになると、輸出に依存してきた韓国などの景況感は大きく悪化する。

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、世界経済の先行きに大きな不透明要因となっている。それに伴い、株式や為替などの金融市場は不安定さを増している。11月に大統領選挙を控えた米国では、FRBが緊急金利引き下げを行って先行き不安の払しょくに努めている。そうした状況下、感染拡大により、特に韓国ではヒト・モノ・カネの動きが急速に停滞しはじめており、今後の経済活動の低迷が懸念される。

今後、新型肺炎が人の移動を大きく制限し、各国企業の生産活動がさらに鈍化する懸念は払しょくできない。中国依存度の高い韓国やわが国などの経済には、一段と厳しい影響が及ぶことが想定される。先行きは楽観できない。特に韓国にとっては、かなり厳しい。

新型コロナウイルスによる新型肺炎の拡大に歯止めがかからない。感染拡大に伴い、世界的にさまざまな分野に深刻な影響が出ている。特に、世界経済に与える影響は、日に日に拡大している。国に物理的に近いわが国や韓国の経済にも重大な影響が及んでいる。特に、韓国の輸出の30%近くが中国(含、香港)向けであり、半導体、鉄鋼、自動車などで業績懸念が高まっている。

中国で発生した新型コロナウイルスによる混乱は、中国だけではなくわが国をはじめ世界経済に重大な影響を及ぼしつつある。経済評論家の中には、今回の新型肺炎とSARSを比較する見方があるが、当時の中国経済の状況と現在ではかなり状況が異なることを頭に入れておく必要がある。

新型肺炎で武漢が閉鎖され中国の経済活動が鈍化した結果、いくつかの国ではかなり深刻な事態が起きつつあるようだ。その一例に韓国がある。

新型肺炎が世界の経済に与える影響は、過小評価すべきではない。中国は世界第2位の経済大国だ。その中国の主要工業都市の一つを封鎖するわけだから、その影響は大きくなることは避けられない。しかも、今回の感染時期が、中国国内で多くの国民が移動する春節と重なったことは今回の騒動を大きくしている。

近年、韓国では、サムスンなど有力企業の労働組合が大規模なストライキを実施するケースが目立つ。労使間の争議が激しくなると、操業度が低下するなど企業業績にマイナスの影響を与える。それは、韓国経済の減速リスクを高める無視できない要因だ。

韓国で、若年層の失業問題が深刻さを増している。OECDによると、2018年、同国の全失業者に占める25~29歳の割合は21.6%に達した。7年続けて、韓国における20代後半の失業者の割合はOECD加盟国内で最悪の状況になっている。
