窪田順生
メディアは連日のように、新型コロナの感染者数を報道している。その際、視聴者の不安を駆り立てるのが、「累計感染者数」だ。以前から日本人は「積み上げの数字」を使って話を大きく見せ、現実を見誤らせてしまう傾向がある。この「病理」はいつから始まったのか。

報道被害が取り沙汰される中、「自殺報道のガイドライン」などが設けられ、メディアは適切な対応を促されている。しかし、俳優の三浦春馬さんや、コロナ感染で亡くなった有名人に関する報道では、それが守られないケースも多かった。こうした「人災」はなぜ続くのか。

東京を中心に新型コロナの感染者数が再び増加する中、政府が推し進める「Go Toトラベルキャンペーン」に異論が噴出している。このままでは、全国で観光客への「ヘイト」が盛り上がるだけだ。観光客の客足を復活させるもっとよい方法を、過去の教訓から学ぼう。

東京都で新規感染者の100人超えが続く中、再選した小池百合子都知事が都民に向け、他県への移動自粛を呼びかけたことが物議を醸している。政府のスタンスと対立してしまうからだ。小池氏がこんなことを言い出した背景には、ある思惑が透けて見える。

日本企業の「ハンコ文化」に対するバッシングが強まっている。コロナ禍でリモートワークがなかなか普及しないのは、「ハンコ出社」が多いせいだというのだ。しかし、こうした風潮の中で一気に「脱ハンコ」が進んでいくかといえば、決してそうではないだろう。

NHKの世論調査で、新型コロナなどの感染症拡大を防ぐため、政府や自治体によって外出禁止・休業強制を可能にする法律の改正が必要だと考えている人が、6割もいることがわかった。実は管理されたい日本人がこれほど多い背景には、どういう事情があるのか。

「人間的にもアウト」と厳しい批判を浴びている、人気芸人・渡部建さんの不倫騒動。「コメントのみで会見しない」という対応が、世間からの逆風をさらに強めている。渡部さんのこの対応はマイナスにしか感じられないが、危機管理の観点からはどうなのだろうか。

都知事選を来月に控え、小池百合子氏の「学歴詐称疑惑」が盛り上がっている。しかしこの疑惑は、小池氏の再選を阻むほどのインパクトにはならないだろう。むしろ逆に、小池氏の再選にとって「ナイスアシスト」になる可能性の方が高いのではないか。

コロナショックが観光業を直撃している。厚労省の調査によると、コロナ禍による失業者の3分の1が観光業から出ているという。日本の観光はもうダメなのではないかという落胆の声も聞かれるが、そんなことはない。日本の観光業が必ず復活する理由をお伝えしよう。

緊急事態宣言が解除され、日常を取り戻しつつある日本社会。そんな中、世界的に見てコロナの被害が小さかったのは、日本人のマジメさや清潔さによるものという声が広まっている。「日本モデル」は本当に成功したのか。楽観論に潜む「勘違い」の不安を考察する。

検察庁法改正案に抗議するツイッターデモには、これまでにないほど多くの芸能人が参加して反対を表明したが、このアクションに対して一部の人たちが拒否反応を示した。「芸能人が政治に口を出してはいけない」という思い込みの背景には、何が潜んでいるのか。

最近、新型コロナ患者やその家族への嫌がらせ、医療従事者への誹謗中傷などが増えているという。皆が協力し合わないといけないときに、なぜ常軌を逸した振る舞いが広がっているのか。「自粛ポリス」が暴走する背景には、日本人の国民性が関わっていそうだ。

「過剰に人々の恐怖心を煽る」報道が、行政の電話相談窓口や保健所、医療機関に人々が殺到し、現場を混乱させるという現象を引き起こしている。実際、岡江久美子さんに関する報道後、行政への電話相談件数は増加。トイレットペーパーパニックに火をつけたのもテレビだった。今、最も自粛が必要なのはマスコミではないだろうか。

アメリカを中心に、中国の武漢ウイルス研究所が新型コロナ発祥の地だと信じる人が増えている。WHOが否定コメントを出しても、この説は勢いを増すばかり。こういうときには、頭ごなしに信じ込んだり、逆に否定するのではなく、「なぜ、こんな説が出ているのか」という背景を考えてみるべきである。

さまざまな企業がコロナ対策をリリースしている。しかし、レジ前の透明の間仕切り設置などを発表したセブン-イレブンがイマイチ評価されない一方、従業員に総額3億円の感謝金を出すと発表したスーパーのライフはネットで賞賛を受けている。批判が殺到した安倍首相のズレた動画コラボもそうだが、コロナ対策で高い評価が得られるか否かは「国民の不安に寄り添えているかどうか」がポイントなのである。

緊急事態宣言発令を受けて実施された首相官邸での記者会見。安倍首相は時折、緊張感あふれるシーンに似つかわしくない笑みを一瞬浮かべた。時間にしてほんの数秒。しかし、この「不自然な笑い」の背景を考えていくと、安倍政権の「危機対応能力」の欠如が透けて見える。

コロナが世界的に爆発的な広がりを見せる中、東京五輪は「来年7月の開催」を決めた。しかし、ワクチン開発には時間がかかると言われているし、経済がボロボロになる国も多いはず。そんな中で、世界中の人を東京に集めて開催するというのは、再び感染者を増やしかねない方法で、あまりにも非現実的である。

感動のラストから一転、怒涛のゴリ押しマーケティングで大炎上してしまった「100日後に死ぬワニ」。信じられないような雑な話だが、つい3カ月ほど前に炎上してディズニーが謝罪に追い込まれた「アナ雪2」のステマ騒動や、最近の東京五輪延期騒動もよく似た構図で失敗している。

新型コロナで不況にあえぐ業界は数多いが、一方で仕事が爆発的に増えている業界がある。巣ごもり消費を支えるネット通販だ。ネックとなるのはドライバー不足。つまり、ここを普段から解消できる仕組みをつくっておけば、今後も度々人類を襲うであろう「未知のウイルスに強い社会」になることができる。簡単ではないが、対策がないわけではない。

新型コロナウイルスにまつわるデマが各地で騒動を引き起こしている。トイレットペーパーの品切れはもちろん、「社長が感染者」と嘘の情報を流されて売り上げが減ってしまった会社もある。人はなぜ、混乱時にいとも簡単にデマに流されるのだろうか。
