窪田順生
権威や同調圧力に屈している人たちが圧倒多数を占めている社会では、「異分子」は徹底的に排除される。それを、わかりやすく再現した炎上騒動が起きた。内閣官房参与をつとめる高橋洋一氏による「さざ波騒動」だ。

東京五輪への「逆風」がシャレにならないところまできている。東京五輪への風当たりが強くなっていく中で、永田町界隈ではある「暗闘」に注目が集まっている。菅義偉首相と、小池百合子東京都知事のどちらが先に「五輪中止」をぶち上げるのかというバトルだ。

中国人の舞台俳優が演じた「ニセ日本人」が紹介する「匠の鍋」が中国で売上5億円のヒット商品になった。多くの中国人がだまされてしまったわけだが、この裏には中国人の心をつかむ巧みな「仕掛け」があった。

緊急事態宣言からのまん延防止措置で、GWの宿泊予約のキャンセルが相次いでいる。そんな苦境の観光業にとって泣き面に蜂となっているのが、ゴミのポイ捨て被害が増えていることだ。マナーの悪い外国人が消えた観光地で、なぜ観光公害がなくならないのか。

旭化成に続いて、ルネサスエレクトロニクスの半導体工場でも火災が発生し、世界の半導体不足に拍車がかかっている。そんな中、「中国犯行説」という耳を疑うような陰謀論を唱える専門家も出始めた。そんな「リアルゴルゴ13」のような話が本当にあるのだろうか。

国民がコロナ自粛を続けている中、自粛を呼びかけていた当事者である厚労省の職員たちが大人数で宴会を催していた問題が、波紋を広げている。エリートたちは、なぜ状況判断を誤ってしまったのか。その背景には、70年以上前から脈々と続く特権意識の闇が見える。

グローバルダイニング系列の飲食店が、東京都から時短命令を受けたことにより、同社はこれを不服として都を提訴した。これは、飲食店を「狙い撃ち」してきた小池都知事のダメージとなるのだろうか。実は、追い風になるかもしれない。

第一生命保険が昨年末に実施した「大人になったらなりたいもの」というアンケートで、男子の人気ナンバーワンが「会社員」になった。会社員という単なる雇用形態が「職業」として普通に扱われる日本社会のムードには、違和感を禁じ得ない。背景には何があるのか。

緊急事態宣言の延長について「根拠がない」という批判が強まっている。ただ、それでも今後も日本政府の「根拠なきコロナ対策」という方針は、さほど大きな変化がないのではないかと思っている。なぜそんな悲観的なことを言うのかというと、これが「国難」に直面した日本でよく起きる自滅パターンだからだ。

菅首相の長男による総務省幹部接待問題に対し、ここにきてテレビや新聞の追及が、なぜかトーンダウンしてきたように感じる。かつての「モリカケ問題」のときと比べて、報道姿勢がおとなしく感じるのはなぜか。背景には、マスコミ各社の深い苦悩が見え隠れする。

中国の消費者の嗜好を反映しやすいSNS「微博」でつぶやかれたブランド名の調査では、日本のブランドがランクを下げ、中国や韓国のブランドが台頭している。マーケティングが劣っていたことだけが理由ではない。中国で日本のブランド信仰が揺らいでいる真因とは。

批判の嵐に晒されていた五輪組織委の森喜朗前会長を擁護する声が、ここにきて増えている。綺麗事では進まない五輪の運営について、森氏の調整力が改めて見直されている側面もありそうだ。それにしても、森氏の「密室人事」まで擁護する声が出ているのはなぜなのか。

女性蔑視発言が批判の嵐に晒されている、東京五輪組織委の森喜朗会長。辞任を求める声も多いが、果たして森氏が辞めるだけで、政界に深く根を張る「長老支配」は解消されるのか。残念ながら、難しいと言わざるを得ない。根本的に議論すべきことは、他にあるのだ。

新型コロナのワクチン接種が急がれる中、日本では、すぐにでも接種した方がいいと思える立場の人たちが後回しにされ、それほど急いで接種する必要がないと思える人たちが「最優先」とされている。医療従事者へのワクチン接種の方針を取り上げ、この問題に迫る。

「五輪中止」の世論が高まっている。現実的な落としどころと言われるのが、無観客または規模縮小での開催だ。しかし、この案は不吉な予感がする。現在のコロナ禍を予言していたのではないかと話題になった漫画『AKIRA』の中に、気になるエピソードがあるからだ。

麻生財務相が、全ての国民に対して一律10万円の再給付を行うつもりはない、と発言したことで批判を浴びている。その一方、緊急事態宣言下で時短営業に応じた飲食店に対する一律6万円の給付にも批判が集まっている。なぜ、こんなことが起きているのか。

医療崩壊が叫ばれる中、政府が民間病院に協力を呼びかけている。冬のコロナの感染爆発は以前からわかりきっていたことだが、なぜこのタイミングなのか。感染ペースが落ち着いた猶予期間もありながら、これまで医療体制の見直しが進まなかった根本的な原因を考える。

再び発令される緊急事態宣言は、ただでさえ疲弊する医療機関にトドメを刺す恐れもある。政府はまだ手を尽くしたとは言い難く、日本は新型コロナの難局を「国民のがんばり」で乗り切ろうとしている。戦時中とオーバーラップするその行動様式のリスクを炙り出す。

コロナ第3波による医療崩壊が、いよいよ現実味を帯びてきた。それに伴い、新型コロナの指定感染症の2類相当措置の見直しを主張する声も増えてきた。しかし、それだけではこの問題は容易に解決しない。日本の医療にはもっと根本的な問題が横たわっているからだ。

ヨーロッパの有名なことわざに、「地獄への道は善意で舗装されている」というものがある。善意から行われたことがかえって事態を悪化させてしまい、悲惨な結果を招くという意味だ。「Go Toトラベル」をはじめ、日本の政策にはこういうものが多い。なぜだろうか。
