窪田順生
日本経済は1964年以降、爆発的に増えた「成長なき中小企業」を淘汰しない限り苦境から脱出できない――。大手銀行の統合や観光立国を予言した伝説のアナリスト、デービッド・アトキンソン氏はこう指摘する。日本の中小企業は成長もせず、さりとて廃業もしない会社が圧倒的に多い。これは世界的に見ると異常なことなのだ。

福井県高浜町の助役・森山栄治氏から金品を受け取っていた関西電力。記者会見では森山氏のヤクザも真っ青な恫喝が明らかにされたが、被害者面で幕引きを図ろうとする関電の記者会見には、経営責任をうやむやにするためのテクニックが見え隠れする。

最低賃金引き上げを巡る論争が本格化し、様々な意見が飛び交っている。相変わらず「中小企業の経営が厳しくなる」と難色を示す人も多いが、実はイギリスでは最低賃金を引き上げても廃業率は上がらず、むしろ労働生産性が上がったとする調査結果が明らかになっている。

消費増税時、軽減税率対応の新型レジを導入する体力のない中小事業者が続々と倒産する――。前回の増税時同様、今回もそんな懸念をする人が多い。しかし、経営者には気の毒だが、レジ導入が倒産のきっかけになるような弱った企業は潰れた方が、日本の労働者の賃上げのためには良い。

台風15号が改めて浮き彫りにした、日本人サラリーマンの「社畜体質」。そこまでして出社する必要もないのに、駅に向かう長蛇の列に並び、地獄絵図と化した満員電車に揺られて会社へ向かう人々の姿が大きく報道された。これはリモートワークを推進すれば治るというほど簡単ではなく、日本人が70年以上も抱える「不治の病」である。

政界はもちろん、大企業やマスコミ、世論に影響を与える有名人に、それと知られずに近づき、意のままに操るCIA工作員。しかも、その工作員たちの「先生」は大正生まれの日本人女性だった。最近明らかになった、驚くべき真実とはーー。

横浜市が山下埠頭にIRを誘致することを正式に決定した。これに猛反対するのが「ハマのドン」こと藤木幸夫氏。筆者は藤木氏とは少し見方が異なるものの、やはり横浜のIR誘致には反対である。京都以上の「観光公害」で市民が苦しむことが目に見えているからだ。

あおり運転カップルの女性と勝手に認定され、ネット上でボコボコにされた無実の女性が話題になっている。ひどい事件だと思うかもしれないが、実はネットが発達するはるか以前から、無実の人に罪を着せ、集団リンチするという事件は、我が国では繰り返し起きている。

NHKから国民を守る党が厳しい世論にさらされている。しかし、彼らの主張を見れば真っ当なものも多く、むしろテレビを持っている全世帯から強制的に受信料を徴収しておきながら、高齢者からしか支持されていないNHKの歪んだビジネスモデルにこそ問題がある。

夏の高校野球予選で、肘に違和感を感じたエースの登板を回避した大船渡高校に抗議の電話が殺到した。相変わらず、「無理を押してでも頑張れ」という根性信仰とでもいうべき異常な価値観が蔓延しているのだ。ブラック企業にもよく見られるこの「信仰」のせいで、今なお大勢の若者が心身を壊し、時に命まで落としているというのに。

フジテレビの「バイキング」が露骨な吉本擁護をしたことが話題になっている。一連の不祥事の源流をたどると、吉本興業自身が、反社会勢力企業がスポンサーに名を連ねるイベントにタレントを派遣したことが発端だ。これを踏まえると、吉本経営陣がなぜ、芸人の記者会見を頑なに拒んだのか、その真相が見えてくる。

石垣島のラーメン店が「日本人客お断り」という張り紙を掲げて、ネット上で大騒ぎになっている。外国人ならともかく、なぜマナーの良いはずの日本人客を…。そんな感想を持つ人も少なくないだろうが、観光地でも外食産業や介護産業でも、日本人客のマナーの悪さに悩む声は少なくないのが真実である。

参院選で珍しく、与野党で一致している稀有な政策が「最低賃金の引き上げ」。しかし、韓国では最低賃金を大幅に引き上げたところ、失業率が悪化したと報道されている。「日本も韓国の二の舞になる」と心配する意見も少なくないが、両国の事情はかなり違う。この心配は杞憂に終わるのではないだろうか。

「愛があれば」「やりすぎでなければ」、という前提付きで体罰やパワハラを認める日本人は、実は非常に多い。子供を持つ親はもちろん、テレビのコメンテーターやMCでさえ、堂々とこうした自説を述べる。つまり、日本はそれほどに「愛ある暴力」信仰が染み付いている国であり、これが変わらない限り、パワハラはなくならないだろう。

創業214年の老舗くず餅屋が快進撃を続けている。この10年で経常利益は6倍。従業員180人の会社には就職希望の新卒学生が1万7000人も押し寄せる。成長のきっかけは、かつては社員と衝突してばかりだったという8代目社長の「リーダーをやめる」という決断にあった。

会社を揺るがすほどの不祥事に発展したレオパレス問題に次いで大和ハウスも、と不祥事が続発している。強引な営業が問題になっている大東建託もそうだが、人口減少という抗えない時代の変化に対して、「根性」と「頑張り」で立ち向かおうとする、時代錯誤の経営哲学が背景にあるのではないだろうか。

「老後に公的年金以外に2000万円が必要」と書かれた金融庁の報告書が大炎上している。しかし、そもそも「年金だけで老後は安泰ではない」ことは30年以上も前から常識だったはず。一体いつの間に、「年金だけで死ぬまで安心」と信じる日本人が増えたのか?過去をたどると、小泉政権時代の「年金100年安心プラン」に行きつく。

引きこもりを巡る殺人事件が連続して起きて、にわかに注目されている「8050問題」。これまでも「自立支援」の名目で支援の手は差し伸べられてきたが、全国の中高年引きこもりの数は約61万人。とてもではないが、草の根の支援体制でどうにかできる人数ではない。それよりも、目指すべきは「親亡き後も、安心して引きこもれる体制」づくりではないか。

川崎市で起きた通り魔事件に関して、「死にたいなら他人に迷惑をかけずに1人で死ね」という意見と、「そういう批判が次なる犯罪のトリガーになる」と諌める意見が出て論争になっている。しかし、事件記者として凶悪犯罪者と多数話をしてきた経験から言うと、犯罪者に安易に共感することも、彼らの恨みを爆発させる危険な行為である。

ZOZOがバイトの時給を1300円に引き上げて話題となっている。「正社員を増やさないのか」という批判の声も上がっているが、日本の正社員は社畜の集まりでもある。歴史をひも解けば、なぜ正社員=社畜なのか、その原点が垣間見える。
