
末澤豪謙
離脱期限の「10月末」での延長が合意されたBrexitだが、「出口」は依然として見えない。EU大統領が加盟国に提案した「柔軟な延長(Flextension)」が、英国の「離脱撤回の誘導路」になる可能性もでてきた。

今冬は寒暖差が大きく、それも地域で差があるが、「異常気象」は日本だけではない。地球規模で温暖化が進んでいることが背景にあり、温暖化がもたらす自然災害の多発は世界経済のリスクになり始めている。

2019年の干支は「己亥」であり、世界や日本の政治経済はピークアウトから収縮に向かう可能性がある。だが同時に「己亥」の年は、さまざまな障害や困難がある一方で、新芽が芽吹き、新たな胎動が始まる可能性もある。

世界同時株安は、好況下に財政拡張を続けるなどのトランプ政策の矛盾が背景にあるが、民主党が下院で過半数を占めると予想される「中間選挙後」も財政拡張と保護主義は“超党派”で続く。

日銀の政策修正は国債市場などの機能低下に対応したものとされるが、むしろ「2%物価目標」達成が見通せなくても、安倍政権のもとでは異次元緩和を続けることを「宣言」したものと見たほうがいい。

6月末に東京証券取引所と日本銀行がぞれぞれ発表した調査統計で、国債や株式などの資本市場が異次元緩和による「日銀マネー」で席巻され、麻痺している現状が改めて浮き彫りになった。

積極財政政策のもと好況が長く続く米国に象徴されるように世界経済は80年代に先祖返りしたようだ。既視感が漂うなかで、日本経済はその後、転落の一途をたどったことを忘れてはならない。
