
末澤豪謙
2021年の出生数は81.2万人と過去最少で、過去のピーク時の3割にまで落ち込んだ。合計特殊出生率も6年連続の低下だ。少子化対策の抜本策として女性の政治的・社会的地位を高める女性活躍の視点が重要だ。

ウクライナ情勢はロシアが首都キーウ郊外から軍を撤退させたが、ロシア軍が侵攻・占拠した地域から完全に撤退することは考えられず長期化は必須だ。経済制裁も長引くと予想され日本にも「第二幕」の影響の方が大きい。

オリンピックの前後に国際紛争などが本格化したことは少なくない。米国などが「外交的ボイコット」をした北京五輪に合わせるかのようにウクライナ情勢の緊迫化や原油高、オミクロン株感染拡大などのリスクが高まる。

干支で占うと、「壬寅」の2022年は新たな勢力が伸長し、バイデン政権や岸田政権が中間選挙や参院選の結果次第では政権安定に向かう可能性がある。鍵を握るのは「人事での虎変」だ。

19日公示された衆院選挙は岸田政権発足からわずか10日での解散など異例ずくめでの史上最短の決戦だ。議席減が見込まれる自民党だが、選挙の帰趨や政権安定の鍵を握るのは投票率とコロナの動きだ。

菅首相の地元の横浜市長選はコロナ対策最優先を掲げた野党系候補が圧勝したが、コロナ感染の長期化が自民党総裁選や衆院選挙にも影響を与える政局を動かす最大要因になってきた。

東京五輪開幕まで約3週間だが、新型コロナは感染力の強い変異株が中心になり感染再拡大の兆候がはっきりしてきた。ワクチン接種が進み感染抑制に向かうかは五輪の観客規制の鍵にもなる。

3回目の緊急事態宣言が発令されたが、新型コロナウイルス感染を収束できるかは、ワクチンが変異株をどう抑え込めるかが勝負だ。日本では米国やインド由来の変異株への対応が重要だ。

バイデン大統領が掲げた1.9兆ドルのコロナ経済対策を盛り込んだ法案が議会下院で可決されたが、上院での審議で最低賃金引き上げは先送りされる可能性が高い。変異株や金利上昇も新たな不透明要素だ。

2021年の干支は「辛丑」で、新勢力が表舞台に立つものの周囲の抵抗も大きい年になる。米中「新冷戦」のもと米バイデン新政権やコロナ感染防止と経済回復の両立を掲げる菅政権が足場を固めることになるのか、が注目される。

大接戦となった米大統領選は民主党のバイデン候補が勝利を確実にしたが、推計の投票率は建国史上最高で期日前投票も1億人を超える異例ずくめ。選挙戦の熱狂は米国社会の分断とコロナの感染拡大を加速させた。

秋以降の型コロナウイルスの感染拡大が予想されているが、感染の動向は郵便投票の利用率を含めて米大統領選の帰趨や菅新政権での「解散・総選挙」を左右する大きな要因だ。

米大統領選は民主党のバイデン候補の優位が揺らぎそうにない。新型コロナ感染拡大と景気停滞が続く上、共和党支持の多い高齢者の投票率低下が見込まれる。トランプ大統領にはコロナ問題が致命傷になりそうだ。

緊急事態宣言が全面解除されたが、安心して外出などができない状況では経済の回復力も持続しない。経済再開、感染防止をそれぞれ中途半端に追うのではなく、まずは感染を抑える検査・監視体制の強化を重視すべきだ。

新型コロナウイルスによる経済へのショックは、リーマンショックに比べ株価急落や他国経済への波及のスピードが早いのが特徴だ。一方でワクチン開発などの根治対策には時間がかかり政策対応は「長期戦」になる。

2020年の干支は「庚子(かのえ)」だが、新たな変化の可能性を示唆するように年明けから、米・イラン関係の緊迫化など波乱の幕開けだ。気候変動や中国の新型ウイルス問題は思わぬ展開や影響が懸念される。

混戦模様の米大統領選の民主党候補者選びでは、「国民皆保険」を巡る議論が争点の1つで、大統領選でもトランプ大統領との対立点になりそうだ。医療改革は英総選挙でもブレグジットに隠れているが争点になっている。

カナダの総選挙は、トルドー首相の自由党政権の支持率が低下しており政権交代の可能性がある。格差拡大や移民問題を背景に好況でも不安定な先進国の政治状況を反映している。

秋以降、国内外で「政治リスク」が顕在化する可能性が高い。米国ではトランプ大統領が大統領選を意識し中国、イランへの対決姿勢を強め、欧州では総選挙、日本では「改憲」を意識した動きで市場の不安定が強まる。

欧州議会選挙などの結果や来年の米大統領選に向けての動きを見ると、政治の潮流は、気候変動や移民対策、財政出動がキーワードになる。この問題は既成政党に代わって新たな政治勢力がさらに伸長する契機になる。
