枝久保達也
外国人観光客が急速に戻っている。日本政府観光局(JNTO)が5月17日に発表した4月推定値によれば、訪日外客数(入国外国人旅行者)は194.9万人で、前年同月の約13倍、コロナ前の2019年同月と比較しても66.6%に達する数字だ。インバウンドが戻りつつある中、日本最大の観光都市京都はどうなっているのか。5月25日から26日にかけて行われたJR東海の京都キャンペーンプレスツアーに参加し、京都の観光事情の現状を視察してきた。

地方鉄道の存続や利用促進策、バスへの転換などを議論する協議会を国が設置できることなどを盛り込んだ改正地域公共交通活性化再生法が4月21日、参議院で可決、成立した。だが、地方鉄道の経営を根本的に解決するためには地域そのものをもり立てるしかない。そのヒントとなるかもしれないJR西日本と広島県の「瀬戸内三市(竹原市、三原市、尾道市)」による取り組みを現地取材した。

JR東海が5月10日深夜、東海道新幹線の浜松~静岡間で実施した自動運転の試験専用車両を公開した。筆者も参加したが、実用化が始まる5年後を待つのがもったいないほどの出来であった。その驚きの精度と実現した仕組みについて、解説する。

JR東日本・JR西日本・JR東海の本州3社が2022年度決算を発表した。3社ともに業績は回復傾向で、純損益は3年ぶりの黒字となった。鉄道事業者は2020年度以来、コロナ禍に翻弄されてきたが、ワクチン接種が広がり行動制限が緩和されたことで、昨年夏ごろから鉄道利用者は目に見えて増えてきた。政府は5月8日、新型コロナの感染法上の分類を「5類」に引き下げて行動制限を解除しており、今年度はどの程度、平時の社会経済活動に戻れるかが焦点となる。その道筋を占う観点から、昨年度の業績の推移を見ていきたい。

JR西日本は3月9日、グループ会社の後藤工業とクボタ環境エンジニアリング、東芝インフラシステムズからなる共同企業体(JV)が、鳥取県米子市と鳥取県下水道終末処理施設等包括的運転維持管理業務委託契約を締結したと発表した。なぜ下水道の管理業務に乗り出すのか、狙いを探った。

JR西日本のグループ会社、JR西日本テクノスが昨年8月から家具の販売を開始したという。コロナ禍以降、鉄道各社は本業以外にも収益源を確保すべく、さまざまな事業への参入を模索しているが、家具を製造するというのは初耳だ。大阪のJR西日本テクノス本社を訪ね、話を聞いた。

リニア中央新幹線の静岡工区を巡っては静岡県とJR東海で対立が続いているが、一方で「政冷経熱(政治関係は冷え込んでいるが、経済関係は熱い)」ともいえる状況が進んでいる。その一例として、今年1月からJR東海が展開する、静岡エリアを中心とした「どこ行く家康」キャンペーンについて触れてみたい。

府中本町から西船橋まで都心から約20~25キロ圏をぐるりと描く環状線、武蔵野線が1973年4月1日の府中本町~新松戸間開業から50周年を迎えた。山手線の外側で人と貨物の輸送を支える縁の下の力持ち、武蔵野線の歴史を振り返りたい。

京阪電気鉄道を傘下に持つ京阪ホールディングスは3月30日、2030年度までのグループ長期経営戦略と、2023年度から2025年度までの中期経営計画を発表した。その中に盛り込まれたことの一つが「プレミアムカー」の拡大だ。大阪~京都間の激戦区において、最安でもなく最速でもないにもかかわらず、平日朝夕ラッシュ時間帯と土休日の日中はほぼ満席。その人気の理由とは。

3月18日にJR東日本、関東大手私鉄各社が運賃改定を実施したが、今年度も運賃値上げが相次いで行われる。鉄道各社による運賃改定の状況と、その背景について解説する。

首都圏では2010年開業の成田スカイアクセス線以来13年ぶりの大型新線となる、東急新横浜線の日吉駅~新横浜間と相鉄新横浜線の新横浜駅~羽沢横浜国大駅間が18日、開業した。新線開業で浮上した問題とは。

今年1月10日はロンドンに世界初の地下鉄「メトロポリタン鉄道」、現在のハマースミス&シティー線パディントン~ファリンドン間約6キロが開業して160周年だった。日本の鉄道は昨年10月に150周年を迎えたが、本邦に鉄道が開業する10年も前に地下鉄は走り始めていた。日本地下鉄協会が編さんした『世界の地下鉄』によれば世界169都市(2020年時点)で地下鉄が走っており、日本でも北は札幌から南は福岡まで9都市に10の地下鉄事業者が存在する。都市機能を支える地下鉄はどのように誕生し、発展していったのだろうか。

相模鉄道と東急電鉄を結ぶ新路線の「新横浜線」が3月18日に開業する。日吉~新横浜~羽沢横浜国大間の約7.9キロを結ぶことで、神奈川県央部と東京都心のアクセスが向上する。その「使い勝手」について、数字で解説する。

1月24日に大雪の影響で東海道本線(JR京都線・琵琶湖線)が立ち往生し、乗客約7000人が車内に閉じ込められたトラブルについて、JR西日本は2月17日、国土交通省近畿運輸局に対して発生当時の状況と改善策を提出した。今回の問題はなぜ起きたのか。その原因について解説する。

JR上場4社と大手私鉄15社の第3四半期決算が出そろった。2022年度に入り、鉄道各社の経営は完全に持ち直しており、第3四半期累計(4~12月)では、第1四半期決算、第2四半期決算に引き続き、全社が営業利益、経常利益、純利益とも黒字となった。第3四半期累計の決算情報は各種媒体が解説しているので、本稿では鉄道各社の業績の回復状況を把握するため、直近の第3四半期(10~12月)の経常利益を中心に見ていきたい。

金沢~敦賀間延伸開業が1年後に迫った北陸新幹線だが、着工のめどが立っていない。環境影響評価(環境アセスメント)の遅れに加え、着工に必要な条件をクリアする見通しも立たず、まるで複雑なパズルを解くかのような厳しい状況に陥っている。

自転車を折りたたまずに電車内に持ち込める「サイクルトレイン」の事業化を模索する動きが、大手私鉄で相次いでいる。コロナ禍で輸送需要が減少する中、観光地の活性化にもつながる新たなサービスは定着するのか。各社の取り組みや課題について解説する。

長野市に「地下鉄」があることをご存じだろうか。地下化されているのは長野駅から善光寺下駅の少し先までの約2キロの区間だ。人口40万人に満たない長野市で、なぜ地下鉄が運行されるようになったのか。その歴史とともに長野電鉄の魅力をお伝えする。

モノレールの魅力を発信する「第1回モノレールサミット」が1月21、22の2日間、神奈川県藤沢市の湘南モノレール湘南江の島駅ビルで開催された。モノレールはヨーロッパで発明されたものの、今や日本は営業路線長の合計が世界一のモノレール大国である。なぜ日本でこれほど普及したのか、その歴史を解説する。

JR常磐線各駅停車の亀有・金町駅を使う住民は昨年10月、東京メトロ千代田線の乗り入れにより「不当運賃」を取られているとして、JR東日本、東京メトロ、国に対して2万6980円の損害賠償を求めた。その第一回口頭弁論が1月13日、東京地裁で行われた。この問題の背景にある2つの思想対立とは。
