写真:JR東日本,JR,駅,鉄道Photo:PIXTA

JR東日本とJR東海は7月28日、JR西日本は8月1日に2023年度第1四半期決算を発表した。昨年度から引き続き、新型コロナウイルスからの回復が進んでおり、3社とも最終黒字を達成した。個別の状況はどうなっているのか、詳しく見ていこう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR3社の足元業績は
コロナ前の5~8割まで回復

 JR東日本の営業収益は前年度同期比13%増の約6295億円、営業利益は同2倍となる約802億円、経常利益は同160%増の約675億円、純利益は同137%増の約448億円だった。コロナ前の2019年度同期は営業利益約1446億円、経常利益約1327億円、純利益約916億円だったので、おおむね半分の水準まで回復した。

 特にこれまで低迷していた運輸業が戻りつつあり、同セグメントは前年度同期比193%増の約458億円の営業黒字だった。鉄道事業は新幹線の旅客収入が同43%増の1215億円、定期旅客収入は同6%増の995億円、定期外は同18%増の1802億円で、コロナ前と比較して新幹線は84%、定期は81%、定期外は92%まで回復した。

 JR東海の営業収益は前年度同期比28%増の約3951億円、営業利益は同75%増の約1465億円、経常利益は同94%増の約1293億円、純利益は同93%増の約905億円だった。コロナ前の2019年度同期は営業利益約2062億円、経常利益約1887億円、純利益約1313億円だったので、おおむね7割の水準まで回復した。

 東海道新幹線の回復は顕著で、新幹線の旅客収入は前年度同期比33%増の約2866億円。コロナ前の88%の水準まで回復し、運輸セグメントは約1354億円の営業黒字となった。JR東海とJR東日本の新幹線旅客収入は同程度回復しているが、JR東海の東海道新幹線は利益率が高く、また売り上げに占める割合も高いため、より黒字を底上げしている。

 JR西日本の営業収益は前年度同期比24%増の約3693億円、営業利益は167%増の約522億円、経常利益は同188%増の約486億円、純利益は法人税等調整額の影響で同42%減の約333億円だった。コロナ前の2019年度同期は営業利益約660億円、経常利益約623億円、純利益約425億円だったので、おおむね8割の水準まで回復した。

 新幹線旅客収入は前年度同期比37%増の約1024億円、定期旅客収入は同3%増の323億円、定期外旅客収入は同22%増の627億円で、いずれもコロナ前の9割の水準であり、モビリティセグメント(鉄道やバスなど)の営業利益は同315%増の328億円だった。