8月5日夜、JR東海道線大船駅構内で、走行中の列車が電柱と衝突する事故が発生した。なぜ、このようなあり得ない事故が起きたのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
時速約80キロで走行中
傾いた電柱に衝突
8月5日午後9時24分、JR東海道線大船駅構内で、走行中の上り列車が時速約80キロで走行中、線路内に傾いた電化柱(送電用の架線を支える柱、以下「電柱」とする)と衝突する事故が発生した。国土交通省関東運輸局は7日、JR東日本に対し警告を発出し、再発防止策と対応を検証して報告するよう求めた。
運転士は「目の前に柱が見えて衝突した」と証言しているが、当該区間の手前には左カーブがあり、また夜間だったことで直前の発見となり、衝突に至った。
衝撃はすさまじく、電柱と架線の接触で車両の前面と車体左側、屋根が大きく損傷しただけでなく、先頭車客室の天井板やつり手棒が落下し、運転士と乗客3人が軽いケガをした。東海道線は翌日午前8時まで、並行する京浜東北・根岸線、横須賀線は終日運転を見合わせて、約15万人の足に影響した。
電柱が倒壊するというあり得ない事態はなぜ起こったのか。JR東日本は現在、事故原因を調査中であり、本稿でも断定的な記述は避けるが、状況だけ整理しておきたい。