枝久保達也
JR上場4社が大幅増益、相次ぐ値上げと合理化は「コロナ危機への便乗」か?
JR東日本・西日本・東海・九州の上場4社が2023年度決算を発表した。昨年5月8日に新型コロナウイルス感染症が感染法上の5類に移行し、行動制限がなくなったことで、通勤定期利用を除く鉄道利用はほぼ正常化した。決算内容も、2023年度が事実上の「アフターコロナ元年」とだったことを示しており、今回の決算は「ニューノーマル(新しい常態)」の基準点として見ることができそうだ。

「地下鉄なのに天窓が…」東京メトロが東西線の駅「大改造」に巨費を投じるワケ
東京メトロは5月11と12日の2日間、東西線東陽町~西葛西間を終日運休し、南砂町駅の線路切り替え工事を実施した。これはホーム1つを2本の線路が挟む「1面2線」構造の南砂町駅を、ホーム2つと線路3本の「2面3線」に造り替える大改造工事で、今回の工事は完成までに3回行われる切り替え工事の初回である。予定通りに完成するとしても構想から16年の大事業だが、そこまでして南砂町駅を大改造する理由とは何なのか。

東武野田線が新型車両を導入へ「6両→5両化」で朝ラッシュに懸念も
東武鉄道は4月16日、東武野田線(アーバンパークライン)に新型車両「80000系」を2025年春から導入すると発表した。一方、この新型車両の導入とあわせて、野田線に大きな変化が訪れる。現在、全ての車両が6両編成の野田線であるが、「80000系」は5両編成で登場し、継続して使用される「60000系」についても5両編成に改造される。コロナ収束で需要が回復する中、5両化で混雑率がコロナ前を上回る懸念もある。

「コロナ禍のダイヤ改正」西武鉄道と東武鉄道で対応がくっきり分かれたワケ
鉄道の「商品」であるダイヤをいつ、どのように見直すかは、各社にとって最も重大な経営判断だ。コロナ禍により、終電時刻の繰り上げや度重なるダイヤ改正が行われたが、数年のうちにここまで目まぐるしく変わり、利用者は困惑していることだろう。利用者の激減と巨額の赤字という前例のない危機に対応せざるを得なかった事業者を責めることはできないとしても、どのようなダイヤ改正であればユーザーフレンドリーだったのだろうか。今回は、そのヒントになるかもしれない西武鉄道の対応について解説したい。

太っ腹すぎるって!JR東日本の「ネット銀行参入」にSNS沸騰、同社の狙いとは?
JR東日本は5月9日からデジタル金融サービス「JRE BANK(JREバンク)」を開始する。利用者はインターネットで専用口座を開設すれば、振り込みや預金、住宅ローンなどのサービスに加え、利用状況に応じ、鉄道利用に関するさまざまな特典が受けられる。JR東日本はなぜ今、銀行サービスに乗り出したのか。また、利用者は具体的にどのような特典を得られるのか、詳しく解説する。

大井町線はかつて「田園都市線」だった…田都40周年のフクザツな歴史
4月9日で東急田園都市線は全線開業から40周年を迎えた。渋谷から中央林間まで31.5キロを結ぶ田園都市線は複雑な成り立ちを持つ。首都圏屈指の通勤路線がどのように形成されてきたのか、歴史を振り返りたい。

川勝知事の辞職でリニア進展?JR東海が今度こそ「地域目線」で取り組むべきこと
静岡県の川勝平太知事が突然、辞職の意向を表明した。リニア中央新幹線の静岡工区での着工に反対してきた同知事の辞職により、早期開業への期待の声も聞こえる。いずれにせよ、今後工事が進められる中で、気になるのが各県に一つ設置される中間駅の周辺開発だ。これについてJR東海はようやく一つの方向性を提示した。それが3月25日、建設中の神奈川県駅の一角にオープンした「FUN+TECH LABO(ファンタステックラボ)」だ。現地を訪れ、取材した。

東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」
東京メトロは4月1日、民営化から20年の節目を迎えた。筆者が入社したのは民営化2年目のこと。当時、株式上場・完全民営化は「目前」とされたが、いまだ実現はしていない。前身である帝都高速度交通営団(営団地下鉄)から始まった、完全民営化への取り組みの歴史を振り返る。

リニア新幹線、静岡工区と名古屋~新大阪間の同時建設は難しい?JR東海が「無理」と一蹴する理由
リニア中央新幹線をめぐるJR東海と静岡県の協議は、具体的な進捗を見ないまま2024年度に持ち越されようとしている。JR東海は果たしてどんなことを考えているのか、多くの人が漠然と抱いているだろう疑問を、同社にぶつけてみた。

春のダイヤ改正「減便」はいつまで続く?乗客戻っても“コスト削減”のナゼ
恒例の春のダイヤ改正が3月16日に行われた。振り返ればコロナ禍以降、各事業者は朝夕のラッシュから深夜時間帯、日中まで運転本数を大幅に削減した。だが、鉄道需要が回復する中、「アフターコロナ」に向けた輸送体制の整備が問題となるのは確実だ。

あわや脱線…山形新幹線「つばさ」がまたオーバーラン、“約1年で2度のトラブル”なぜ大問題なのか?
東京に雪が降る日には何かが起こる――。桜田門外の変や2・26事件を論じようというわけではない。東京の積雪は過去10年で10回程度、単に雪に慣れていない人々が普段とは違う行動をするためトラブルが起こりやすいというだけだ。6日に起きた山形新幹線「つばさ121号」のオーバーランというトラブルも果たして、そんな背景があるのだろうか。

JR西日本の新技術が「日ハムの新球場」に導入された納得の理由
点と点がつながる感覚と言ったらいいだろうか。本連載ではJR西日本が進める、外部の技術・ノウハウを活用した「オープンイノベーション」の成果を紹介してきたが、さらなるビジネス拡大を図るため昨年11月、鉄道本部イノベーション本部に「ソリューション営業企画部」を設置し、本格的な外販に乗り出したのである。点が線につながった過程と、さらに線を網にする今後の展開について、同部の井上正文部長に話を聞いた。

沖縄「ゆいレール」2両→3両化、“鉄道のない県”にモノレールが根付いた50年の歴史
先日、私用で9年ぶりに沖縄を訪れた。鉄道を目的とした旅行ではなかったが、沖縄赴任中の懇意の記者に「今夜、ゆいレール増備車の陸送がありますよ」と教えてもらったので、2月13日深夜、那覇港から那覇空港駅近くの車両基地までトレーラーで陸送される様子を見てきた。

「利権を放棄するワケがない」みなとみらい線開業でJRが横浜市に激怒したワケ【鉄道史】
横浜高速鉄道「みなとみらい線」への乗り入れ開始に伴い、東横線が横浜~桜木町間を廃止したのが2004年1月30日。今年はそれから20年となる。今回は桜木町を起点に東横線とみなとみらい線の歴史を見ていこう。

「券売機がない駅では…」JR九州の“不親切”ポスターに驚いたワケ
JR九州は1月22日から、鹿児島、宮崎、大分県を中心とした券売機未設置駅と新たに券売機を撤去した駅で、「QRコード乗車証明書」を一斉に導入した。JR九州の経営環境をふまえれば、券売機の設置縮小はやむを得ない部分はある。だが、スマホを持っていない人や、操作に不慣れな人を置き去りにする可能性もある。

京成上野~青砥「本線」なのに押上線より地味なワケ
京成電鉄京成本線の起点である京成上野駅が昨年12月10日、開業90周年を迎えた。今では押上線と比べて本線は地味な印象だ。しかし、かつて上野への乗り入れは、京成電鉄にとって悲願であり、その実現に至るまでには、さまざまな苦難があった。

京葉線のダイヤ改正に千葉県や沿線住民が猛反発!JR東日本が「異例の譲歩」に踏み切ったワケ
年末年始、鉄道業界に大騒動が降って湧いた。JR東日本が昨年12月に発表した今春のダイヤ改正で、通勤時間帯の京葉線上り快速・通勤快速の廃止が明らかになった。これにより、千葉県や沿線自治体から「容認できない」反発と戸惑いの声が相次いだため、1月になり、朝の快速2本に限り復活させる異例の「ダイヤ改正の修正」を余儀なくされた。JR東日本はなぜ快速・通勤快速を全廃しようとしたのか。

JR西日本「自動運転バス」ついに公道走行!もはや手動運転と変わらないレベル…【現地試乗】
JR西日本が開発中の「自動運転・隊列走行BRT」が、いよいよ公道を走りだした。昨年9月25日付『「自動運転バス」ここまできた!“格落ち”イメージ払拭?JR西とソフトバンクが公道で実験へ』で取り上げた通り、昨年11月から東広島市の西条駅から広島大学をつなぐ大通り「ブールバール」で実証実験に向けた準備走行を重ねていたが、ついに1月10日から自動運転・隊列走行の実証実験がスタート。筆者は同日に行われた報道公開と試乗に参加してきた。

能登半島地震にJAL機炎上…年明けの異常事態に「鉄道と航空の助け合い」が実現した意義
JR東海とJR西日本は昨年9月、東海道・山陽新幹線「のぞみ」について、繁忙期に全席指定席化すると発表した。それから初めてとなる今回の年末年始。自由席をなくしたことで、混乱は生じなかったのか。帰省ラッシュのピークに東京駅を訪れ、各列車の利用状況を取材した。

「丸ノ内線の終点」なぜ池袋になった?当初計画にあった“意外な駅”とは
銀座線と並ぶ東京の地下鉄の顔である丸ノ内線の第一期区間池袋~御茶ノ水間が1月20日、開業から70年の節目を迎える。戦前、丸ノ内線の「源流」に当たる計画では、新宿~大塚を結ぶ路線だった。戦後初の地下鉄である丸の内線は、いかにして今の形になったのか。
