
井出真吾
旧NISAに眠る資産、どうする?“そのまま放置”のリスクと対応策【資産形成のプロが解説】
「旧NISAの口座にある投資信託、どうすればいい?」新NISAがスタートしてからそんな疑問を抱える人は少なくない。非課税期間はまだ残っているから、と判断を先送りにしたまま時間だけが過ぎていくこともあるだろう。資産形成のプロ・井出真吾氏が、旧NISAの対応策をQ&A形式で解説。資産の扱いに迷ったときに考えるべきポイントとは?※本稿は、井出真吾『井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「老後は投資を引退するべき」は早計、資産形成のプロが「生涯投資」を勧める納得の理由
投資はいつまで続けるべきか。人生の後半に差しかかると、そんな疑問が浮かぶことがあるだろう。長寿化が進み、シニア世代の“資産との向き合い方”は、誰にとっても無視できないテーマといえる。資産形成のプロ・井出真吾氏が資産の持ち方や使い方、そして次世代へのつなぎ方についてQ&A形式で解説する。※本稿は、井出真吾『井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

日経平均株価は、トランプ関税の影響が見通せず3万8000円程度が上値メドとして意識されているようだが、1期目のトランプ政策と株価動向の経験則を基にすると、いずれトランプ政権が26年中間選挙を意識し減税や規制緩和に政策をシフトし始める中、投資家心理が和らぎ、早ければ年内には4万円を回復する可能性は残っている。

米国株は2月中旬の急落に続き3月末に再び大幅に下落した。経済のスタグフレーション懸念の高まりや関税引き上げなどのトランプ政策による不透明感が原因とされるが、本質的には米国株はAIバブルなどで割高であり、再び10%~15%程度下落する余地は残る。3月末の下落はその前兆かもしれない。

2025年の新NISAの非課税投資枠360万円の投資先や投資タイミングをどうすべきか。24年は、「つみたて投資」より「1月一括投資」に軍配が上がった。判断のポイントは、トランプ政権発足で金融市場が不安定化する恐れもあることだ。25年も「1月一括投資」が有効だと考えられるが、年前半にある程度分散して投資する戦略も併せて考えておきたい。

日本銀行の追加利上げに端を発した急速な円高・株安は、いったん落ち着いたようだ。今後の鍵は正念場にある米国景気の動向次第だ。再び乱高下する恐れもあるが、ソフトランディングが実現すれば、年末から来年前半にかけて日経平均株価は再び4万円台回復が期待できる。

日経平均株価が4万円超えの史上最高値更新後、さえない展開が続くのは、2月・3月期決算の企業が24年度業績見通しを市場予想とは逆に「減益」としたことが大きい。しかし中間決算では多くの企業が業績見通しの上方修正が見込まれ、日経平均株価も早ければ24年内に「4万円台定着」となる。

金融政策正常化に踏み出した日本銀行が抱える大きな懸案が、株価急騰で含み益が34兆円に膨らんだ保有ETFの処理だ。金融市場への影響排除や国民への利益還元を考えると、政府出資のファンドに売却し、政府は日銀からの納付金やファンドの配当収入を子ども子育て支援や人材投資に活用するのが望ましい。

金融政策正常化に踏み出した日本銀行が抱える大きな懸案が、株価急騰で含み益が34兆円に膨らんだ保有ETFの処理だ。金融市場への影響排除や国民への利益還元を考えると、政府出資のファンドに売却し、政府は日銀からの納付金やファンドの配当収入を子ども子育て支援や人材投資に活用するのが望ましい。

#4
日経平均株価が史上最高値を更新した2月22日、多くのメディアや市場関係者は「待ってました!」とばかりに盛り上がった。約34年ぶりの高値更新とされるだけに注目が高まるのも無理はないが、二つの理由で騒ぐほどのことではない。少なくとも今はバブルではない以上、仮に一時的な株価下落が起きたとしても、いずれ4万円台が定着することは間違いないと考えるのが自然だろう。

2024年の日経平均株価は米国景気のソフトランディング見通しや日本企業の業績好調でバブル崩壊後最高値を更新、3万5000円台が期待できる。鍵は米景気が底堅さを維持できるかどうかだ。高金利長期化で急減速となれば米国株下落と円高のダブルパンチを受ける可能性がある。24年前半は要注意だ。

日経平均株価は長引くインフレ、中東情勢の緊迫など当面は不安材料に事欠かない状況だが、人手不足やインフレ対応で企業は前向きな投資を加速させ、日本取引所グループによる経営改善要請に応じる企業も出始めた。中長期的な日本株の“伸びしろ”は大きい。

高値が続く日経平均株価だが、今後は米インフレ率が鈍化しづらくなる一方で、「AIバブル」といえる米国株急落や米景気の後退が意識されれば円高とのダブルパンチが懸念される。米国債格付けの引き下げによる日米株価急落はその予兆かもしれない。

日経平均株価が33年ぶりに最高値を更新したのは、コロナからの経済回復を背景に海外投資家の日本株再評価が引き金だ。東証の「PBR改善要請」で企業が自社株買いに動き始めたことも追い風になったが、懸念は海外景気の減速と円高だ。

東京証券取引所が株価の低い企業にPBR改善策を求めるというが、「リキャップCB」を活用する自社株買いのように既存株主が損失を被ったり将来の株式価値の希薄化を招いたりする懸念があり、注意が必要だ。

日本銀行の新総裁に、政府が元日銀審議委員の植田和男氏の起用を固めたと報じられた。舵取り次第で、日経平均株価は2万6000円割れになるとの試算が判明。一方で中長期的には、むしろ海外投資家を呼び込む契機となるシナリオも浮かび上がる。

欧米の利上げ鈍化で株式市場は局面変化の兆しがあり、2023年は米国経済が軟着陸に成功すれば日経平均は3万円程度が見通される一方、景気後退リスクが顕在化した場合は2万5000円割れの可能性もある。

異次元緩和策で日銀が買い入れた約50兆円のETFは株式市場への影響が大きく売るに売れない状況だが、政府が買い取って将来世代が国民年金で受け取るようにすれば、老後の不安の緩和にもなる。

2022年後半はFRBの利上げペースの緩和で米国株は上昇に転じるが、日本株は企業が慎重に見た23年3月期業績予想の上方修正が相次ぐこともあって米国株を上回る上昇率になりそうだ。

東京証券取引所は3つの新市場区分に再編されたが、最上位のプライム市場は銘柄数が依然、多すぎて「看板の付け替え」の感が否めない。PBRやROEで銘柄を絞った上位の少数精鋭市場の創設も考えるべきだ。
