大槻智之
働き方改革など、大きく変化しつつある労働環境ですが、新たに2023年4月1日から中小企業を対象として、時間外労働の賃金率が変更されるのをご存じでしょうか?そこで今回は労働環境の変化に企業がどのように対応すべきか、特定社会保険労務士の大槻智之さんの著書『働きやすさこそ最強の成長戦略である』(青春出版社)から抜粋紹介します。

日本の労働相談件数――実は13年連続で100万件を超えてるという事実をご存じでしょうか。2020年6月にハラスメント関連法が改正されてからは、従来、規定のなかったパワハラ防止法が新たに施行されました。2022年4月からは、中小企業においても社内のパワハラを防ぐために対策をすることが義務づけられています。問題の規模に大小はありますが、なぜこれほど多くのトラブルが起こってしまうのでしょうか?そこで今回は、20年以上、あらゆる労務トラブルを解決してきた特定社会保険労務士の大槻智之さんの新刊『働きやすさこそ最強の成長戦略である』(青春出版社)から、企業が行うべき本当の働き方改革の考え方を抜粋紹介します。

「とにかく残業時間を減らさないと話にならないです」――。こう話すのはとある中堅メーカーの人事担当者の西山さん(仮名)。働き方改革により法定労働時間の厳守が必須となった上、社長命令もあり、社員一人一人の労働時間に目を光らせてきたそうです。西山さんの努力の甲斐もあってか、今のところ残業の限度時間をクリアできているものの、今後やってくる繁忙期をどう乗り切るかに頭を悩ませています。一体どうしたら良いでしょうか。

「とにかく、社会貢献がしたいんです!」――。卒業後の進路について、こう話す大学生がなんと多いことか。特に統計をとったわけではありませんが、社会保険労務士という仕事をしていると、こういう若者に出会うケースが非常に多い気がするのです。「社会貢献をしたい」という想いそのものは否定されるものでもなく、むしろ「立派な考え」であると思います。しかし、その「社会貢献」というキーワードだけで就職先を選んでしまってよいのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、在宅勤務などのテレワークを続けている企業はまだまだ多い。テレワーク中でも、ケガなどをすれば、労働災害として認められる。ただし、すべてが認められるわけではなく、一定の条件があるので注意が必要だ。
