「社員を不幸にする会社」がやりがちな“残念な働き方改革”とは社員にとっての働きやすい会社の決め手とは、実はマッチングにあるといえる。そして相性がよければ、良好な関係性を持続して、よい成果を生みだし続けることができる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本の労働相談件数――実は13年連続で100万件を超えてるという事実をご存じでしょうか(厚生労働省『令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況』より)。2020年6月にハラスメント関連法が改正されてからは、従来、規定のなかったパワハラ防止法が新たに施行されました。2022年4月からは、中小企業においても社内のパワハラを防ぐために対策をすることが義務づけられています。問題の規模に大小はありますが、なぜこれほど多くのトラブルが起こってしまうのでしょうか?そこで今回は、20年以上、あらゆる労務トラブルを解決してきた特定社会保険労務士の大槻智之さんの新刊『働きやすさこそ最強の成長戦略である』(青春出版社)から、企業が行うべき本当の働き方改革の考え方を抜粋紹介します。

企業が行うべき
働き方改革とは?

 みなさんはどんな会社であれば社員が働きやすいと思いますか?

「あの会社だったら誰でも働きやすいよね」なんてことはない、と私は考えています。どんな会社であっても、働く人にとって合う・合わないは必ずあるものです。「早く実力をつけて活躍したい」という人にとっては、残業や研修の多い会社で働くことは希望通りだといえますし、「オンとオフはきっちり分けたい」という人にとっては、そんな会社は願いさげかもしれません。

 働き方に対する価値観は人それぞれです。双方にとっていい出会いをすること、つまり相性のよい相手とめぐりあえることが、お互いにとって幸せな結果をもたらします。社員にとっての働きやすい会社の決め手とは、実はマッチングにあるといえるのです。