宣伝予算のない中小企業・個人事業主の多くが、売上を伸ばすことは難しいと思っている。まして、これまで取引のないような新規顧客を獲得することは簡単ではない。しかし、お金をかけずに、新規顧客を次々につかまえる方法がある。
高等戦術研究室代表の杉村晶孝氏は、「お金をかければかけるほど、ものは売れなくなっていき、アホになる」と分析する。実際、杉村氏はゲリラマーケティング手法を使って、1人で金融商品を900億円も売りさばいてきた人物だ。消費が低迷する時代に、どんな手法で売上アップを図るのか。『1通のちょっと変わった手紙で、新規客が殺到する! 集団感染マーケティング』(小社刊)を上梓した杉村氏に、その秘密を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社書籍編集局)
実は「金をかけるほど、売れなくなる」
顧客の生の声から売れる“感染菌”をつくれ!

――コネや紹介もない状態で、新規の顧客を獲得するのは本当にたいへんです。なぜ、これまでの宣伝方法やマーケティングではうまくいかなかったのでしょうか。
よくセミナーやコンサルティング先で、中小企業の社長さんが「どこにでもあるありふれた商品だから売れるわけがない」とか「うちみたいな知名度のない小さな会社では何をやっても売れない」「宣伝予算がないから売れない」とかあきらめたようにつぶやかれます。でも、これらは全部間違った「思い込み」です。
なぜ売れないのかといえば、「売れる言葉」で商品の見せ方、切り口がつくれていないからです。これは、ほとんどの場合、売り手でさえ気づいていません。また「売り手自身」の見せ方や演出など、今まで考えたこともなく、ほったらかしにしているから売れないのです。
さらに、新規客の見つけ方やターゲットへのアプローチ方法がわからず、やみくもにお金をかけて、業者任せに宣伝しています。でも、これではまったく効果がありません。「見せたつもり」でいても、ターゲットの新規客にメッセージが全然伝わっていないから売れない、というのが真実です。
もっと恐ろしいのは、こんな状況に陥っていることにいつまでたっても気づかず、「プロが言うんだから、こんなものだろう」と思い、お金を無駄に捨て続けていることなのです。