今、日本のクラフトビールが海外で親しまれている。海外の先駆者として知られる「常陸野ネストビール」の木内酒造や「COEDOビール」のコエドブルワリーはいかにして海外展開を果たしたのか。成功の要因をレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)
韓国はソウルの繁華街、弘大(ホンデ)。7月下旬、ナイトクラブやバーなどが立ち並び、ソウル一若者が集うこの地で、筆者は異様な光景を目にした。
日本食料理屋が多い弘大で、居酒屋「だんだん」に入り、メニューを見て目を疑った。ドリンクの欄に茨城県の木内酒造が製造する「常陸野ネストビール」や埼玉県、コエドブルワリーの「COEDOビール」など、日本のクラフトビールの名が並んでいたからだ。
店内を見渡すと、カップルや女性客のグラスには琥珀色のクラフトビールが注がれている。日本のクラフトビールが、海を渡った韓国の地で、若者に親しまれているのだ。
実はこうした光景は韓国に限った話ではない。香港や台湾、シンガポールなどの都心部でも同様の光景が見られるという。
今やクラフトビールの人気は米国や日本だけでなく、先進国の都市部を中心に世界的に広がりつつある。こうした潮流は、クラフトビールメーカーの目にはチャンスに映り、日本の有力なメーカーらの海外展開に対する鼻息は荒い。
そんな中、日本勢の中でも、早くから海外展開を始めた“2大先駆者”が、木内酒造とコエドブルワリーだ。だが、アサヒビールやキリンビールなどの大手でさえも一筋縄ではいかないのが海外展開。彼らはいかにして海外に商品を広めたのか。それぞれの経緯を見ていこう。