10月から、パート主婦や派遣社員などの短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大され、「130万円の壁」が見直されることになった。

 これまで、短時間労働者が勤務先の健康保険や厚生年金保険に加入するかどうかは、「1日または1週間の労働時間、1ヵ月の労働日数が正社員の4分の3以上(おおむね1週間の労働時間30時間以上)」「年収130万円以上」などが判断基準とされていた。

 この労働時間や年収などの基準が引き下げられるため、10月以降はこれまでよりも約25万人の短時間労働者が、社会保険に加入するようになると試算されている。

 国は、なぜ短時間労働者の適用拡大に踏み切ったのか。また、この制度変更によって、個人にはどのような影響が出るのか。気になることはたくさんあるが、今回はまず、これまで「パート主婦の130万円の壁」と呼ばれていたものが、どのように変わるのかを見ていこう。

適用拡大の対象になるのは
従業員501人以上の企業

 パート主婦や非正規雇用の人で、勤務先の健康保険や厚生年金保険に加入するのは、これまで同様に、「1週間の労働時間と1ヵ月の労働日数が、正社員の4分の3以上ある」という条件は変わらない。ただし、これより労働時間が短くても、次の1~5の要件を満たすと、新たに健康保険と厚生年金保険に加入することになる。

◆社会保険適用拡大の5要件
 1.1週の所定労働時間が20時間以上
 2.雇用期間が継続して1年以上見込まれる
 3.月額賃金が8万8000円以上(年収106万円以上)
 4.学生でない
 5.従業員数501人以上の企業に勤めている

 この5つの要件をすべて満たす人は、労働時間が正社員の4分の3未満でも、健康保険と厚生年金に加入が義務付けられた。

 この制度改正によって、サラリーマンの夫に扶養されている妻で、従業員数501人以上の企業で働いているパート主婦は、「130万円の壁」が「106万円の壁」に引き下げられることになったのだ。