エアーズロック事故での
日本人ライダーのひと言

 以前、オーストラリアに遊学していたとき、日本人ライダーがエアーズロックに向かう未整地ルートの途中、ガス欠で遭難するという事故がありました。

 脱水症状で死亡寸前に救助されたのですが、そのときに現地の救助隊が驚いたのが、遭難したその場所には水たまりがあったのに、なぜその水を飲まなかったか?ということ。
 その遭難者に聞いたところ「汚いから飲みたくなかった」との答えでした。

 日本のこの便利さ、清潔さの根底には、電気や水道が24時間当たり前に使えるというインフラが整備されている前提があります。
 災害などないにこしたことはありませんが、いざこのインフラが使えなくなったとき、この便利さの反動がくるのではないかと思います。

有事で重宝した石油ストーブ

 以前、真冬の北海道のたる地域で地域全体の停電が起こってしまいました。
 その地域では、町の助成もあって、オール電化住宅が普及していたのですが、停電になり、真冬のさなかに暖房も使えないことになりました。

 そんな状況を救ってくれたのが、石油ストーブでした。
 普段、とても便利なオール電化住宅ですが、いざインフラがストップしてしまうと、最先端なものほど役に立たず、独立した昔ながらのものが使えたというのは皮肉なものですね。

 これは勝手な持論ですが、今、お笑い芸人や、やんちゃな子がモテているのは、いざというときに守ってもらえるのではないかという本当の意味での生活力があるかどうか、女性が見極めているからではないかと思っていたりします。

 そういった意味では、これから農家がモテる時代になるのではと夢想しています。
 本当の意味での生活力は、農家が誰より持っていますから。

西田栄喜(にした・えいき)
菜園生活「風来」(ふうらい)代表。1969年、石川県生まれ。大学卒業後、バーテンダーとなる。1994年、オーストラリアへ1年間遊学後、ビジネスホテルチェーンの支配人業を3年間勤務。その後帰郷し、1999年、知識ゼロから起農。
小さなビニールハウス4棟、通常の10分の1以下の耕地面積である30アールの「日本一小さい専業農家」となる。
3万円で購入した農機具などで、50品種以上の野菜を育て、野菜セットや漬物などを直売。SNSなどでお客さんとダイレクトにつながり、生産・加工・販売を夫婦2人でやりながら、3人の子どもたちと暮らす。
借金なし、補助金なし、農薬なし、肥料なし、ロスなし、大農地なし、高額機械なし、宣伝費なしなど、“ないないづくし”の戦略で、年間売上1200万円、所得(利益)600万円を達成。
基準金額95%未満でも105%超でも反省する「売上基準金額経営」を実践。
小さいからこそ幸せになれるミニマム主義を提唱。地域とお客さんとのふれあいを大切に、身の丈サイズで家族みんなが明るく幸せになる農業を行う。
著書に『小さい農業で稼ぐコツ――加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円』(農山漁村文化協会)がある。最近は、多くの新規就農者の相談に乗りながら、全国各地からの講演依頼も多い。
【風来HP】http://www.fuurai.jp/