個人消費で見ると、8月の社会消費品の小売総額は名目で前年同期比10.6%増となり、7月に比べて0.4ポイント回復した。価格要素を除いた実質伸び率は10.2%であり、こちらも7月比で0.4ポイントの回復である。

 一定規模以上の工業企業の付加価値額(カギとなる製造業の指標)は前年同期比6.3%増で、伸び率は今年3月以来、最高となった。

 中国共産党の機関紙『人民日報』は今年5月、中国経済は「U字型」や「V字型」ではなく、今後数年は横ばいの「L字型」のトレンドを描くと報じたが、8月のマクロのデータが予想を上回り、L字型成長の特性を明確に示し、経済の下降圧力が和らぎ、安定成長政策の効果が現れ始めたと見てよいだろう。これが、『ウォールストリート・ジャーナル』が報じた「政府支出が中国の経済回復を助けた」ということであろう。

 しかし、今後数ヵ月の焦点はインフラ整備投資であり、今のところ、年内の財政支出圧力は相対的に大きく、支出の力が予想を下回るならば、インフラが引き続き投資の妨げになり、L字型の短期的、一時的な安定は崩れ、もう一段の下落を招いてしまう可能性がある。

賃金引き上げ圧力は緩和へ

 一方で、これまで企業の経営にとって大きな圧力となっていた急激な賃上げは、これから緩和されていく。

 中央政府部門が2010年に発表した「最低賃金規定」によると、「最低賃金基準は2年ごとに調整すべき」と定められている。調整とは、現実ではほぼ引き上げを意味している。

 今年は9月に、北京市が最低賃金基準は毎月1720元から1890元まで引き上げた。今年最低賃金基準を引き上げた地域としては国内で9つ目に当たる。他の8つの地域は、江蘇省、上海市、天津市、山東省、遼寧省、重慶市、海南省及び河北省である。

 人力資源・社会保障部のデータによると、2011~2015年に全国ではそれぞれ、25、25、27、19、27の省・直轄市が最低賃金基準を調整したことから見ると、平年に比べ、国内最低賃金基準引き上げのペースは減速している。今年はまだ3ヵ月残っているが、「最低賃金を調整する地域数は昨年を上回らないだろう」と国務院発展研究センター金融研究所の朱俊生研究員が予測している。