内容もPUNKのようにとても刺激的だ。起業論では「人の話は聞くな、アドバイスは無視しろ」「嫌われ者になれ」「永遠に青二才でいろ」と、「Punk is attitude. Not style.」といったクラッシュのジョー・ストラマーのように、起業におけるアティチュード(姿勢)を示したかと思えば、「頭を下げ、バーターでも裏技でも何でも使え」とけっこうむちゃくちゃなことをいっている。

 その一方で、本書で一番大事なアドバイスとして、「財務の知識は必要だ」と、とても現実的なこともしっかりと書いているのが憎いところだ。「キャッシュこそ絶対王者だ」など、経営者の本ではあまりみかけない、財務の話にかなりのページを割いているのが、この本のユニークなところである。なかでも機会費用の考え方はお金のことだけでなく、時間の使い方にも応用できるので、とても参考になった。そのあとに続く過激なマーケティング手法の話もおもしろいが、あえてそこには触れないでおこう。

本書のアドバイスも
参考にしなくてもいい

 それよりも最高だったのが4章の「新時代の破壊的パンクのためのセールス論」だ。この章はたったの2ページしかない。そこには3つのルールが書かれているだけだ。あたかも3コードだけで曲を作ったラモーンズのようではないか。これこそまさにPUNKである。この章の最後に書かれている言葉がまた最高だ。「販売であれこれ悩む必要はない。ほかのことでいい仕事をすれば、勝手についてくる」間違いない。

 とにかく最高にPUNKな1冊である。起業を考えている人には特におすすめだ。経営者の本でここまで刺激的でおもしろく、それでいて実用的な本はあまりないと思う。ぜひ一度読んでほしい。本の話とは関係ないけれど、ブリュードッグのPUNK IPAはめちゃくちゃうまいので、飲んだことない人にはぜひ飲んでもらいたいと思う。この本を読んでから、私はこの会社の出すビールの虜になっている。最後に、著者の言葉を引用してレビューを終わろう。

 “本書でぼくは、人のアドバイスは聞くなといった。それは、ここに書いたことすべてに無条件で当てはまる。だから、あなたがもし本当に賢明な人なら、本書全体を無視するべきだろう。参考にするも、しないも、好きにしてもらっていい。ただし、何か行動は起こしてほしい。

 それから、とにかく楽しむことを絶対に忘れてはいけない。”