日本が負った新たな責任を
果たすためのヒント

 日本が今回の会議において「二大排出国の参加が得られない状況下では、温暖化防止の実効性に乏しく、京都議定書枠組みの単純延長には応じられない」という主張を行なったことは、この問題をいま一度冷静に考えるために「現状に一石を投じた」という点では、十分理解できる選択であったと思います。しかし、一石を投じた以上、また京都議定書採択時の議長国の責任としても、日本は新たな責任を負ったことになります。

 11月29日にバングラデシュのシェイク・ハシナ首相と、菅直人総理大臣が、首脳会議を行ないました。その後発表された日本・バングラデシュ共同声明のなかには、「両首脳は、バングラデシュ国民が主導するマイクロ・クレジットや包括的ビジネスなどの革新的な開発アプローチが世界の貧困削減に貢献していることを評価する」との文言があります。ビジネスと貧困削減問題を結びつける総理レベルでの声明は、日本では初めてとのことです。

 貧困問題と経済(ビジネス)の問題は不可分であると同様、環境問題、特に地球温暖化の問題と経済の問題も不可分なのです。さらに加えるならば、貧困問題と地球温暖化の問題も不可分と言えます。このことに、日本が次に取るべき行動のヒントが隠されているのだと思います。

 環境ブームの最中、カーボンオフセット商品なるものが、CSRとマーケティングを結びつけて発売されました。しかし、CO2をモノサシにしても、購入者に対して環境貢献の“実感”を与えることができたとは思えません。

 一方、途上国の貧困問題などに関心を示す学生は、自らが活動団体を立ち上げ、それぞれが試行錯誤しながら途上国で活動するNGOなどの団体に直接支援金を届けようとしています。そして学生は、支援金を届けるために現地に出向き、直接現地の人々と会うことで、自分たちの活動の意義を“実感”することができています。

 こうした学生の活動の特徴は、最大公約数型の世界標準のモノサシが存在せず、(ベタな表現ですが)熱いハートを持つ者同士の横の連携により、個々の活動が最小公倍数型に積み上がっていくことにあります。たかが学生の行動と侮るなかれ、こうした次世代を担う学生の行動、活動からも、国際社会は大きな示唆を得ることができるのです。

 CO2のようなバーチャルなモノサシを無理やりつくって、環境は環境、貧困は貧困といったような個々の議論を個別に行なうことではなく、例えば、貧困問題、環境問題をインテグレート(統合)し、同じテーブルで議論する、そんな「途上国と先進国が共存共栄していく姿をイメージ」した議論のかたちを考えていくことが、いま求められているのだと思います。

 すっかり醒めて(冷めて)しまった感のある環境問題ですが、いまこそ、新たな発想、枠組みを構築し、「熱い(×暑い)」議論から生まれる、実効力のある行動が求められているのです。

【参考資料】
・外務省ホームページ