毎年恒例の最先端IT・エレクトロニクス総合展『CEATEC JAPAN 2016』が10月4~7日の4日間、幕張メッセで開催された。「つながる社会、共創する未来」をテーマとする今年の『CEATEC JAPAN』は、CPS(サイバー・フィジカル・システム)やIoT(モノのインターネット)に関する展示を中心に構成され、同時開催された100セッション以上のコンファレンスもCPS/IoTをテーマとするものが目白押しだった。そのひとつとして、弊社が開催初日に主催した『DIAMOND online forum 2016』の内容の一部をお届けする。
「オープンであること」が
IoT推進の必須条件
幕張メッセのメイン展示会場には、前年の551社を大幅に上回る648の国内外の企業や業界団体、行政機関などのブースが出展。来場者数も前年比9.1%増の14万5180人と大幅に増え、ここ数年、ビジネスの新たなキーワードとしてすっかり定着したCPSやIoTへの関心の高さがうかがえた。会場内では、個別の製品やソリューションの展示のほかに、IoTを応用した次世代の生活やビジネスなどを体験できるコーナーも数多く設けられ、人気コーナーには長蛇の列ができるなど、会場全体が熱気と興奮に包まれていた。
メイン展示会場の隣にある国際会議場では、『CEATEC JAPAN』の主催団体や政府、企業、大学、研究機関などによる100セッション以上のコンファレンスが催された。弊社はそのひとつとして、10月4日16時から『DIAMOND online forum 2016』(主催:ダイヤモンド社クロスメディア事業局、協力:ダイヤモンドオンライン編集部)を開催。1980年代に家の中のすべてのモノをネットワークで繋いで制御する「TRON(トロン)電脳住宅」を発表し、日本におけるIoTの草分け的存在とも言える東京大学教授の坂村健氏と、1990年代からインターネットでシステムやデバイスを「つなぐ技術」を開発し続けてきたソフトウェア開発企業、インフォテリア代表取締役社長兼CEOの平野洋一郎氏が講演を行った。
深澤献・ダイヤモンドオンライン編集長による冒頭のあいさつに続き、まずは坂村氏が登壇。「オープンIoTの時代」と題して、約40分に及ぶ熱のこもったトークを繰り広げた。
坂村氏は、「過去には『ユビキタスコンピューティング』や『カームコンピューティング』『M2M』『O2O』など、モノ(デバイス)がインターネットでつながるという概念を言い表すさまざまなバズワードが登場した。しかし今日、それらの言葉は『IoT』というひとつのキーワードに収れんされつつある」と指摘。その理由として、モノとインターネットの本来あるべきかかわり方は、「『モノをインターネットにつなぐ』というよりも『インターネットのようにモノをつなぐ』ことであるという認識が定着してきたからである」と説明した。
一見、わかりにくい装置のようにも思えるが、前者と後者の違いは「オープンであるか、ないかの違いである」と坂村氏は明快に語り、次のように続けた。