新しいビジネスモデルやイノベーションを生む引き金になるとの期待が高い「IoT(Internet of Things)」。このテクノロジーが近々起こすであろう世の中の劇的な変化は、ものづくりに強い日本の製造業にも大きなビジネスチャンスとなることは間違いないだろう。IoTの仕組みをうまく活用すれば、中小製造業やベンチャーでも、海外企業や消費者とつながったり大企業と対等に渡り合える可能性がある。だが反面、流れについていけなければ存続さえ危ういかもしれない。このIoT時代、日本の製造業は勝ち残っていくために何をすべきなのか。IoTの先駆者として1984年以降、一貫してその概念を世に発信し続けてきた、坂村健教授に聞いた。

IoTとは「インターネットのように
機器がオープンにつながる」こと

東京大学大学院 情報学環 坂村 健 教授

――従来からインターネットを介して機器と機器が接続して行われるサービスは存在していますが、それとIoTはどこが違うのでしょうか。

 IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」といわれるように、現象面から見るといろいろなモノがインターネットとつながるという意味です。ただ、単にモノがインターネットとつながるだけだったら20年前にすでにありました。

 違うのは、従来のネット対応機器は「機器がインターネットにつながる」ということ。対して、IoTは「インターネットのように機器がつながる」ということです。この違いがお分かりいただけるでしょうか。

 インターネットのようにつながるとは、「オープン」につながるということです。以前のネット対応機器は、逆に「クローズ」なつながり方でした。スマホでテレビの録画予約ができるといっても、そのメーカーのアプリからしか操作できない。こういうものはIoTとはいえません。言ってみれば、特定のOS同士だけしかつながらないメールのようなもので、これでは誰も使わないでしょう。

 では、IoTではどのようなことができるのか。お互いにAPI(アプリケーション同士をつなぐインターフェースのプログラム)をオープンにし、他社製の機器や他国の携帯電話からでも操作できるようにする。つまり、オープンな技術に裏打ちされた接続がなされ、ソフトウェアもオープンに動いて、企業の枠を越え、国境も越える。こうしたインフラが、IoTの世界です。