生活保護基準引き下げ反対訴訟は、全国で約900人の当事者が原告となった史上最大級の行政訴訟だ。原告となった当事者は、生活保護の「いま」「これから」をどう見ているのだろうか?
生活保護引き下げ反対訴訟
原告に投げかけた「6つの質問」
2013年から実施された生活保護基準引き下げに対し、全国で生活保護を受給している当事者のうち約900人が原告となり、国に対する違憲訴訟を行っている。連載第66回は、訴訟を支える弁護士の思いを紹介した。今回は、原告となったご本人の思いを紹介する。
ご登場いただくのは、北海道に住む平田明子さん(仮名・47歳)。もともと公立小学校の「保健室の先生」こと養護教員だった平田さんは、紆余曲折の末、40歳を過ぎる時期には非正規雇用の公務員となっていた。
「公務員ワーキングプア」そのものの不安定な身分と低賃金労働に、さらに職場のパワハラが加わり、平田さんは精神疾患のため就労を継続できなくなった。傷病手当金・失業給付など社会保険による所得補償が尽きた後は、生活保護のもと、病気の治療・療養を行いながら生活している。
精神疾患の症状は、徐々に軽快しつつある。平田さんは、年間数日ではあるが、「慣らし」的なアルバイトも自発的に開始し、継続している。いったん、非正規雇用ながらフルタイム雇用での就職もしてみたが、精神疾患の悪化により、1ヵ月足らずで退職することとなった。
平田さんの心身は現在もなお、日々生活し、心身の状態を維持し、可能ならば少しでも良くしようとするだけでも大変な状況下にある。それでも平田さんは、生活保護基準引き下げの原告となる決意をした。
私が用意した質問は、以下の6項目だ。
【Q1】生活保護基準の引き下げ反対訴訟が、第一次水俣病訴訟の約7倍という規模(原告約900名)になったことに対して、どう思っていますか?
【Q2】生活保護基準が引き下げられて、ご自身の生活はどのように変わっていきましたか?
【Q3】生活保護基準の引き下げが、日本のすべての人々の生活に波及する可能性について、どう考えていますか?(注:税金や社会保険料が減額・免除される所得も、連動して引き下げられる場合が多いため。参考:読売新聞『ヨミドクター』記事、日弁連パンフのQ7。また「地域にお金が流れにくくなる」という見えにくい影響もある )