今年の中学入試は「動向がつかみにくい」と言われている。例年は中学入試の模擬試験の大手である四谷大塚、全国中学入試センター(日能研)、首都圏模試センターが行う“3大模試”の学校別志望者数を前年と比較して分析することで、入試の志望動向を予測していたのであるが、来年度入試分はできなかった。
上位層の生徒が多く学ぶ大手塾のSAPIX(サピックス)のいくつかの塾内テスト日が四谷大塚の模試と同日になったためである。例年はSAPIXの生徒であっても、多くは四谷大塚の模試を受けており、それが上位層の動向を掴む最善の手段であったのだが、今年は受ける生徒が減少した
結果、3大模試のデータからでは上位層の動向が見えなくなったのである。
こうなった背景には「大学受験予備校の競争が中学受験に持ち込まれたため」と見る関係者が多い。というのも、四谷大塚を大学受験予備校の東進ハイスクールなどを経営するナガセが買収。一方、SAPIXは3大予備校のひとつである代々木ゼミナールが買収した。
この二つの大学受験の予備校は、ともに全国展開しており激しい競争関係にある。少子化により大学の経営は厳しいが、予備校だって同じだ。その競争関係が中学受験に舞台を広げたものと見られている。
そうはいっても、2011年も中学入試は行われる。当事者にとって見れば、予測困難といわれる中で的確な志望校選びを行わなければならない。読みにくい2011年度の入試を分析してみよう。
最難関校はいままで以上に
受験生が人気校に集中
まずは最難関校。不況の影響から首都圏の中学受験者は「5%程度は減るのではないか」と予測されており、全体としてみれば入りやすくなりそうだが、保護者の志望校厳選化が進んでおり最難関校、男子御三家の麻布、開成、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉の厳しさには変化はない。そればかりか人気校に今まで以上に受験生が集まり、私立中の二極化が顕著になりそうだ。
焦点は御三家以外の学校だ。