日本では、未婚の母など結婚していない母親から出生した「婚外子」の割合が、わずか2.1%に過ぎないが、海外ではなんと、スウェーデンでは54.7%、フランスでも52.6%と、半分以上が婚外子なのである。そして、フランスもスウェーデンも、1990年代に1.5~6%台に下がっていた出生率を2%台に回復させることに成功しているのだ。

 これは、例えばフランスの場合、1999年に事実婚のカップルに対して、税控除や社会保障などは結婚に準じる権利を付与するパックス婚の制度が制定されていることが一因と考えられている。結婚の形態の多様化に合わせた柔軟な制度設計にすることで、子どもを産みやすい社会になってきたのだ。

 これに対して日本では、価値観が多様化したといっても、いまだに家族という単位への拘りが強く、明らかに若者が結婚を重いものと考え、躊躇する一因となっている。それを、自民党の草案のように「家族は、社会の自然的かつ基礎的単位として尊重され、国および社会の保護を受ける」「家族は、互いに扶助し、健全な家庭を築くよう努めなければならない」などと規定してしまったら、余計に家族を築くことが重いものになってしまい、若者が結婚から遠のき、少子化が進んでしまうのではないだろうか。

日本の本来の伝統・文化は自由と多様性である
「美しい国」は日本を衰退させる

 この連載では、歴史的に見れば、保守派が考える「国民が1つの方向を向き国家のために進む」という「美しい国・日本」は、日本を衰退させ、破滅に追い込んできた。権力に逆らって生まれた多様な文化が自由に花開いた時こそ、日本黄金期であったと指摘してきた(「5つのポイントで占う2015年」)。国民が1つの目標に向かったようにみえる「高度成長期」でさえ、自動車産業など、政府の産業政策に逆らった産業だけが発展したのだ。そして、現代の「クールジャパン」のアニメ、J-POPなども、国家権力とは全く対極の「自由」から生まれたものであるのは言うまでもない。これが日本の文化・伝統に対する「正しい解釈」であると考える。

 保守派の主張が、日本の文化・伝統を曲解し、日本の本来の強みである自由と多様性を奪って衰退させて、日本人の本当の誇りを失わせているといえば、言い過ぎだろうか。