「就労モチベーション下がりまくり」
働きたい若者がボヤく矛盾

 生活保護の収入認定の現状、「働いても生活保護以上の生活は許さない」という仕組み、結果として「働いたら損」となっている状況は、実際に就労の意味を疑わせ、あるいは必要なのに生活保護から無理に脱却する状況をつくっている。

 シングルマザーである病気の母親のケアをしながら定時制高校に通い、アルバイトで1ヵ月あたり8万円の収入を得ている10代女性は、「就労意欲下がりまくりですよ」とボヤく。彼女が8万円稼いでも、一家が使える現金は2万1600円しか増えない。

 また連載第23回で紹介したアサコさん一家は、夫妻と高校生~就学前の5児を合わせた一家7名が生活保護で暮らしていたが、高校生となった長女がアルバイト収入を得るようになり、収入認定され、ほとんどが我がものにならないことに激しい不満を抱いたため、一家で生活保護を辞退することとなった。

 生活保護制度は、生活保護基準という「最低限度」を保障する仕組みである。保護が必要かどうか、どれだけ必要であるかは、収入と生活保護基準の比較によって判断される(資産はないことが前提)。しかし、生活保護基準は、生活保護のもとでの生活の「最高限度」ともなってしまう。どうしてもこのような制度設計でなくてはならないのか、このことが弊害を生み出していないかどうかは、「自分がもしも生活保護で暮らすことになったら」という前提で、「我がこと」として考えるべきではないだろうか。

 一方で解消しなくてはならないのは、生活保護基準が現在あまりにも低すぎることだ。そもそも生活保護基準が低すぎるため、就労によるメリットに若干の手当をしたところで「働いたら損」となる状況は変わらない。また、連動して定められる最低賃金も低く抑えられ、「生活保護の方がマシ」という低賃金・不安定雇用労働者の悲鳴を生み出している。

 生活保護のもとでは、就労による本人のメリットがあまりにも少ない。このことは、不正受給の背景にもなっている。

 やや古いが、総務省が2014年に公表した『生活保護に関する実態調査 結果報告書』に、2008年年度~2012年度の不正受給に関する詳細な分析がある。