職場でブランケットを使ったりカーディガンを羽織ったりして、冷え症対策をする女性を見かけませんか?

職場での男女のギャップを理解しよう

 一説には日本人女性の70%、つまり4000万人以上が悩んでいるといわれる「冷え性」。以前、男性も悩んでいるという事情をお伝えした「便秘」とは違い、冷え症に悩まされるのは今も女性が中心だ。したがって「要するに温めればいいんでしょ、重ね着でもすれば」「手足が冷たいってそんなに辛いことなの?」という程度の認識の男性は少なくなく、職場の冷暖房の設定をめぐるトラブルも生じている。よって、今回は主に男性の立場から「冷え性」について学び、女性との認識のギャップを埋めていきたい。

 そもそも「冷え性」とは、手足や全身に「冷え」を感じて辛いことの総称である。西洋医学では、ホルモンバランスの乱れやストレスによる自律神経失調症が原因と考えられている。

 人間が気温の変化に関係なく体温を一定に保つことができるのは、自律神経が正常に働き、血流などをコントロールしているからであるが、この自律神経が乱れると体温調節もうまくできなくなってしまう。

 ストレスによる自律神経の乱れは誰にでも起こりうることだし、体温調節の機能にだけ悪影響があるというわけではない。しかし、男女の体格差によって、体温調節のしやすさは根本的に異なる。熱をつくり出すための筋肉が女性は男性にくらべて少なく、皮膚の表面温度も低くなる。さらに女性は貧血や低血圧の人が多いため、「冷え」が表出しやすい。

「冷え症外来」もある

 体温調節がうまくいかないと、寒いときはもちろん、通常の室温でも手足に冷たさを感じる場合がある。前述の男性にありがちな意見のように、「温めれば」「重ね着すれば」ある程度は症状は軽くなる。ただし日常生活、とくに勤務時間の中で手足を暖めながら作業するのは難しい。ソックスの重ね履きにも限度があるだろう。そもそもの原因が自律神経の乱れにあるので、温めても冷えの感覚がなくなるとは限らない。