企業は物流センターの製品保管や在庫管理業務などをアウトソーシングして物流効率化を図ってきたが……

 日本の物流業界に3PL(Third Party Logistics)が登場したのは1990年代後半のことだっただろうか。

 もともと、90年代初頭の米国で台頭した新たな物流サービス形態だが、日本でも瞬く間にブームとなり、現在に至るまで物流企業の営業手法の中核をなしている。

 とはいえ、3PLに明確な定義があるわけではない。1997年4月に閣議決定された政府の総合物流施策大綱では「荷主企業に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務」と定義されているが、事業としての細かい規定があるわけではない。

 要は、運送や保管といった“単品”ではなく、荷主企業の物流業務を“丸ごと”請け負う仕事だと理解すればいいだろう。物流センターにおける製品保管や在庫管理、輸配送といった一連の業務を1社が包括的に担うことで、荷主企業の物流効率化に貢献する役割を果たしている。

「デフレ型ビジネスモデル」だった3PL

 その3PLが日本で花開いた背景には、バブル崩壊後の厳しい企業経営があった。荷主企業はバブル後遺症や低成長に悩み、自らのコア事業への“本業回帰”を打ち出していた頃である。

 荷主企業にとって物流は不可欠な機能であるとはいえ、それ自体が利益を生み出すコア事業ではない。そこで、物流をその道のプロである物流企業にアウトソースすることで経営資源を本業に振り向ける流れが加速した。

 荷主企業の物流担当者にとっても、1社に全面委託することで複数の運送会社や倉庫会社との面倒な交渉から解放されるというメリットがあった。

 一方、物流企業にとっても物流アウトソーシングは大きなチャンスだった。