消費税増税による雇用・採用の変化
政府は消費税増税(2014年4月)を機に、国債を買い戻し、そのお金が市場に流れ出たことで株価が上向きました。
また、増税したことで公共投資が増え、それに応じて、公共事業を中心に雇用も増えています。
ところが、仕事は増えているのに人手が足りません。
人手不足を招いた原因は、2つあります。
ひとつは、新生児の数より亡くなる人の数が増え、人口が減少していること。
もうひとつは、最低賃金が上昇したことで就職先の選択肢が増え、売り手が有利になったことです。
これまでは、「人が辞めても、新しい人を採用すればいい」と考えることができました。
でも、これからは違います。
その人が辞めたら、次はいない。
増税を境に、「辞めても次の人がいる時代」から「辞めたら次がいない時代」へと変わったのです。
社員が辞める。募集をかけても人が集まらない。すると、残った人たちの負担が増えて、組織が疲弊します。
そして、疲れ果てた社員がまた辞めていきます。この負のスパイラルの行き着く先は“倒産”です。
消費税が上がるまでは、「営業戦略が巧みな会社」や、「販売力のある会社」の業績がよかった。
ところが、これからの時代は、「人を大切にする会社」が生き残ると私は考えています。
時代が変わっているのに、自社の舵取りを変えないで過去にとらわれていたら、うまくいかないのは当たり前です。
2014年までのわが社は、「5年以上勤めた社員が『辞める』と言ったら、引きとめない」ルールでした。
ところが現在は、真逆です。
人材の獲得が難しいので、「5年以上勤めた社員が『辞める』と言ったら、全力で引きとめる」ルールです。
ルールを180度変えた理由は、時代が180度変わったからです。
人手不足を解消するには、2つの方法があります。
「人が辞めないような対策を取る」ことがひとつ。
そしてもうひとつは、「業務改善をして、今いる社員の生産性を上げる」ことです。
生産性が上がれば、ひとりあたりの労働時間を減らすことが可能です。
武蔵野が「残業時間を減らしながら、過去最高益を達成している」のは、世の中の変化(働く人たちの意識の変化)に合わせて、自社の仕組みを変えてきたからです。