──2011年度の税制改正大綱で、証券税制の優遇措置の延長が決まった。証券界にとって追い風となりそうか。
株式の譲渡益と配当金に課される税率は本来20%で、今は10%と一時的に軽減されている。だがこの優遇措置は、恒久化するのが当たり前の話。株式購入というリスクを取っているにもかかわらず、なぜ税率が優遇されないのか。
ひと言でいえば日本はまだ金融後進国なのだ。カネはあるが、証券税制のほかにも金融教育や金融システムがきわめて遅れている。
──金融システムでいえば、何が遅れているか。
債券市場一つを見ても、日本はまだジャンク債(格付けが低く利回りが高い債券)の市場がない。投資家保護の観点からまだ早過ぎるといって、きわめて保守的な行政がなされてきたからだ。
本当の投資家保護とは、証券会社が投資家の売買を取り次ぐ際、最良執行(最良と判断した価格などで発注すること)を行うことだ。
今は、過去最高の売買代金を更新したPTS(証券会社による取引所外の電子取引)を使えば、取引所とPTSを見比べて最良の価格を瞬時に発見し、注文をどちらに出すか証券会社が選べるようになってきている。しかも注文が出せる価格の刻みはPTSのほうが細かく、投資家にとって有利なケースもある。