雇用も失業率こそ5%以下にとどまっているものの、雇用者数が伸びているのは非製造業だけで、製造業では減少の一途をたどっている。学歴別の就業者数を見ても高卒以下は伸びているものの、大卒以上は上向いていない。「サービス業など相対的に賃金が低い労働者の雇用が増えているだけ」(石原氏)とみられる。

 市場ではトランプリスクによる景気下振れを警戒する声もある。特に警戒しているのが保護主義政策による米国経済への影響だ。トランプ氏は大統領選挙後、中国やメキシコからの輸入品への関税を引き上げるような意図のコメントは控えているものの、「トランプ氏が移民抑制や貿易面で保護主義的政策をいつか打ち出すのではないかと企業が警戒すれば、国内への投資を控え、雇用を抑制することにもなりかねない」(小野亮・みずほ総合研究所シニアエコノミスト)。

 短期的に見れば、期待インフレ率の上昇に合わせて金利が上昇しており、他の主要国との金利差からドル高トレンドとなっている。ドル高は米国の製造業にとっては輸出減少をもたらし、マイナスとなる。

 トランプ氏は賃金停滞に苦しむ労働者の支持と期待を集めてきただけに、市場も企業経営者も、大統領就任後はドル高を容認せず、保護主義的な政策を打ち出すという警戒感を拭えない。

 米国景気の堅調さが続くかどうか、トランプ氏の経済政策のかじ取りにかかっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)