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三菱自経営改革は
再生のラストチャンス

 12月14日、三菱自動車工業(以下三菱自)の臨時株主総会が千葉市・幕張メッセで開催され、カルロス・ゴーン日産社長兼最高経営責任者(CEO)を取締役会長に迎えた新経営体制がスタートした。今年4月の軽自動車燃費不正問題発覚から三菱自のブランド失墜と業績面への多大な影響により、支援を仰いだ日産が34%出資して日産傘下入りした三菱自。14日の臨時株主総会でゴーン社長兼CEO以下日産から4名の取締役(日産出身の山下光彦副社長、三菱商事出身の益子修社長、白地浩三副社長、三菱東京UFJ銀行出身の池谷光司副社長)を含む計11名が選任される一方で、三菱自プロパー(生え抜き)取締役は不在となった。

 これにより、三菱自の再生に向けて日産と仏ルノーのトップを兼ねるゴーン氏が三菱自の会長も、という3社を統括する異例の体制となった。つまり、それは三菱自がルノー・日産連合の一員の枠組みとして始動したことになる。

「ゴーン流」の三菱自経営改革は、日産を早期再建させたコミットメント(目標必達)経営の第1弾「日産リバイバルプラン(NRP)」(1999年10月に発表した計画)に倣う方向で進めることになり、来年1月1日付けで全社の組織体制の大幅な改編を発表した。それは経営の監督と執行を明確に分け、新経営体制の中核となるのは機能ごとの4名の執行責任者としCEO・COO(最高執行責任者)から大きく権限委譲し、トップマネジメントとしてのリーダーシップを明確にする。会長はガバナンス、社長CEOは経営戦略の構築を担い、COOは執行責任者を統括し、その実行にあたる位置づけとした。

 三菱自にとって最後の再生チャンスとも言える今回の経営改革は、実質的に「日産駐留軍に三菱商事自動車事業本部が加わっての主導」(三菱関係者)となるもので、三菱自のプロパー社員が本当に一丸となって三菱自内部の力を結集できるか、が注目される。