成績が上がる傾向なのは少子化の国?

 次に、X軸方向にあらわされた成績の向上度を見てみると、カタール、アルバニア、ペルーといった成績レベルの低い国で大きな点数上昇が目立っている。図の分布全体を見渡しても、右下がりの傾向が認められ、「成績が悪い国ほど成績上昇が大きい」傾向にあることがうかがわれる。成績が低いほうが伸びしろがあるということだろう。

 先進国の中で成績低下傾向が目立っている国は、ニュージーランド、オーストラリアといったオセアニア諸国、及び、フィンランド、アイスランド、スウェーデンといった北欧諸国である。

 北欧の中でエストニアは例外的に成績が伸びているが、先生の数が変わらないのに少子化の影響で生徒の数が減り、20年間で1先生あたりの生徒数が20人から12人へと減って脱落者を出さない授業が可能となったせいだとも言われる(英「エコノミスト」誌同上)。

 東アジア諸国の中では韓国の成績低下が目立っている。日本も低下傾向にあり韓国に次いで動きは好ましくない。

 一方、東アジアの中でも、シンガポール、香港、マカオは成績が上向きである。ここではデータを掲げていないが、移民生徒の有無別のPISA調査の集計結果からは、欧州諸国とは反対に、これらの国では、移民生徒の方が成績が良いという傾向が確認されている。すなわち、これらの国では、高学歴・高所得の移住者を世界各地や中国本土などから多く受け入れている影響がプラスに働いていると考えられる。

 その他の先進国では、ドイツ、ポーランド、ポルトガルの成績上昇傾向が目立っているが、これらの国は、いずれも、合計特殊出生率が日本以上に低い国であり(2013年に、ぞれぞれ、1.41、1.28、1.21)、上で述べたエストニアと同じ理由が当てはまっている可能性がある。ポルトガルの元文部大臣によれば、同国における生徒の成績向上をもたらした要因としては、能力別クラス編成を限定的にして、教師の努力の下、授業についていくのが大変な生徒が同級生と一緒のクラスで補習を受けられるようにしたのが大きいとのことであるが(英「エコノミスト」誌同上)、これも先生に余裕がなくてはできないことだったろう。