今年の首都圏の中学受験の受験者は約5%減ると見られていたが、大手塾の日能研によると約1.9%の微減にとどまった。受験率も昨年の20.3%から0.6ポイントだけ下がって19.7%。受験生1人当たりの併願校数は5.0校で昨年とほぼ同じだったという。厳しい経済不況の中でも私立中人気は根強かったことになる。
今年の保護者は子どもが小学4年生の時にリーマンショックに遭っている。塾通いを始めていたとすると、経済的な不透明感の中で中学受験を目指してきたことになる。それだけ、中学受験を完遂する強い意志を持っていたからこそ、この数字でとどまったのではないかと想像している。
今年は難関上位校、とくに
東大合格者が大幅増の学校が人気に
今年の入試で目立ったのが難関上位校の人気が高かったことだ。大学合格実績とりわけ東京大の合格者が大きく増えている学校に人気が集まった。
男子校では東京大合格者が138人から168人に30人増えた開成が5.5%増えて志願者1176人、競争率は2.9倍で昨年の2.7倍からアップした。同様に東京大合格者が16人増の聖光学院、22人増の駒場東邦、15人増の海城、12人増の攻玉社などが人気を集めた。
海城は今年から高校募集を停止して一貫教育のカリキュラムを強化したことも人気を押し上げる要因になっている。全体の志願者は253人、16.8%増えて1758人だった。東京大合格者が3倍に増えた攻玉社は、一般生だけで志願者は318人、21.7%増。競争率も1回目の試験が昨年の2.6倍から3.3倍、2回が1.9倍から2.8倍にアップした。
女子校でも同様の傾向が見られた。女子御三家で志願者が唯一増えた雙葉は、東京大合格者が6人増えて15人だった。豊島岡女子学園は7人増えて24人合格で、志願者は208人増の2913人。首都圏女子校トップの志願者数だ。競争率も1~3回まで順に2.6倍、10.1倍、9.6倍でいずれも昨年を上回り、特に2回、3回はかなり厳しい入試となった。
共学校では東京大合格者19人増の47人で開校以来最高の合格者となった渋谷教育学園幕張が、やはり志願者を増やしている。