この中で最大の人口(2500万人)を持つサウジアラビアの10%超える失業率が目立つ。しかも、若年に限定した失業率はその2~3倍になるといわれる。エジプト、チュニジアに負けない水準だ。

 とはいえ、事情は北アフリカとは大違いだ。実はサウジアラビアの失業者は“国営ニート”に近いのだ。とにかく働かなくても豊かでいられるのだ。最近サウジのアブドラ国王が療養から帰国早々、莫大な石油収入のうち、3兆円近い財源を使って、賃上げ、失業手当、借入金減免等の若年失業者向けの優遇措置を発表した。

 これ以外にも、教育費、医療費、住宅資金が無償の他、就業中は学生に手当てまで出るのだ。働く気力も削がれるほど手厚く保護された若者が政府に抗議行動を起こそうかと立ち上がるだろうか。サウジのデモが外国人労働者だけで行われた意味がよくわかる。

野党も市民団体もなし

 政権転覆は、フェイスブックやツイッターだけで起こるものではない。反政府市民運動の母体となる市民組織や、その受け皿となる野党の存在が必要だ。この4ヵ国ともすべて歴史的な君主制で、議会は存在するが政党は存在しない。中東大産油国には反政府運動の受け皿となる野党勢力がないのだ。反政府運動の母体となる市民組織もない。ちなみに中東湾岸産油国の中で、共和制を採用しているのは、政権転覆が起きそうなイエメンだけである。

 共和制の名の下、実質上、一つの大統領一族が富も権力も独裁し、格差を拡大させてきたチュニジアやエジプトとも違う。長年の部族間の複雑な歴史的背景から国民が正当性を認めてきた王族や首長が、潤沢な石油収入をもとに全国民に豊かさを行き渡らせている。君主制の方が政権の正当性は国民に広く認識されている。