「経済力」?それとも「時間のゆとり」?現代人が日々を楽しく過ごすために必要としているのは何だろうか。博報堂生活総合研究所は、「日本型成熟モデルを考えるシリーズ」の第5回として「生活を楽しむ調査」を実施。アンケート結果からは、人とのつながりに「楽しさ」を見出す現代人の姿が浮かび上がった。

 全国に住む15~69歳の男女553人を対象に、インターネット調査で行ったもの。調査期間は2010年10月。

2位は「お金、経済力」、3位は「時間のゆとり」
そして1位は…?

 アンケートでは、「生活を楽しむために必要なもの」を1人3つずつ自由回答形式で聞き、集まった回答を16のカテゴリーに分類し、集計した。

 結果は、1位が「家族や友人、他者との関係」(全体の19.7%が回答)。「喜びを共有できる家族の存在が不可欠。辛く苦しいことも家族のためなら笑顔でやり遂げられる」(39代男性・栃木県)、「たくさんの人と関わりあっていくことで、多くのことを知ることができるから」(18歳女性・埼玉県)など、人との関係こそ生活に楽しさを呼び込んでくれるものと考える人が最も多かった。

「お金、経済力」(19.2%)が僅差で2位。「最低限の生活を営むのに必要なお金」(68歳男性・静岡県)というように、生活の地盤を固めるためには経済力が必要だという回答が多かった。経済力があることがそのまま「楽しい生活」につながるというわけではなく、「楽しい生活」を送るために必須なもののひとつとして捉えている人が多いようだ。

 3位は「時間のゆとり」(12.4%)。他国と比べても労働時間の長さが指摘されている日本。生活を楽しむために、もっと「時間のゆとり」が欲しいと望む人は多いのではないか。「家族や友人、他者との関係」や「お金、経済力」と比べ、今現在「足りない」と感じている人が多いのが「時間のゆとり」かもしれない。

「情報機器やコンテンツ」選ぶ
“デジタルネイティブ世代”

 年代別に見ると、大きな差のある部分もある。まず、10代から40代では1位が「家族や友人、他者との関係」で、若いほど回答率が高かったのに対し、50代と60代は「お金、経済力」が1位。戦後の復興期を体験した年代と、日本が豊かになってから生まれた年代では、感覚の違いがあるようだ。

 また、10代では「情報機器やコンテンツ」(15.3%)が2位にランクイン。「情報機器やコンテンツ」は全年代で見ると4.3%にとどまり、他の年代では5位以内にランクインしていない。携帯電話やインターネットが広く普及し、「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代だからこその選択と言えるだろう。さらに言えば、若い世代ほど「人とのつながりに必須菜モノ」=「情報機器やコンテンツ」という意識が高いのではないだろうか。

 生活の中であなたが「楽しい」と感じるのはどんな瞬間か。家族で話し合ってみるのも面白いかもしれない。

(プレスラボ 小川たまか)