実際に、16年は韓国海運最大手の韓進海運の倒産を初め、裁判所に破産または企業再生手続き(法定管理)を申請した企業数が1533社に達し、史上最多を記録した。これは1997年のアジア通貨危機の水準を上回ったと言われている。

 こうした構造不況により、社会に就職難・雇用不安が広まっている。最近の韓国ではそうした暮らしにくさを象徴して「ヘル(地獄)朝鮮」という言葉も使われている。

韓国企業が
日本から学ぶ理由

 こうした低成長期へ対応するために、韓国企業は「戦略方針の変更」や「組織的な生産性向上」への取り組みを始めた。そして、それらの企業の多くが注目しているのが、実は「日本企業の組織作り」なのだ。なぜ、韓国企業は「日本企業の取り組み」から学ぼうとするのか、その根拠は下記のグラフにある。

出典:SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータを基にリブ・コンサルティングが作成(注:名目GDP成長率の前後5年移動平均を算出、2015年は実数値)

 図の青いグラフが日本、赤いグラフが韓国の推移を示しているが、赤いグラフは横軸の年代で20年遅れて記載している。

 このような編集を行うと、2つのグラフは非常に近い軌跡を描くことが分かる。つまり、日本が「失われた20年」と呼ばれた低成長期を経験したように、韓国も20年遅れの低成長期に入ると予想されるのだ。

 そのため、韓国企業は、20年先行して低成長期を経験した日本企業がどのように対応したのかを学ぼうとしている。その中でも、特に参考とする対象は、日本流の「生産性の高い組織作り」である。

 実際に、韓国最大の財閥であるサムスングループでは数年前から管理職を対象に「先進的な仕事の仕方」をテーマに、日本の優秀企業における「生産性の高い仕事の進め方」を研究している。このように、課題先進国と言われて久しい日本には、「組織作りの強み」という“隠れた資産”が数多く存在する。