一律規制が向くタイプと
向かないタイプがいる

 言うまでもなく、健康被害は最も発生させてはならない深刻な問題だ。不幸にして亡くなられるケースでは、ご遺族の無念さは想像に余りある。しかし、健康維持の問題が、一律の時間規制という、いわば安直な方法で糊塗されているのは問題だ。

 極めて深刻な労災事故を発生させたが故に、一律規制をするしかない、という考えも分からなくはない。しかし、一律規制により失うものが極めて大きいことも、また事実だ。

 人にはそれぞれ、モチベーションが上がりやすい領域がある。私は、それをモチベーションファクターと名付け、6つに分類している。

残業問題で電通から都庁まで「一斉消灯ブーム」の違和感

 上の図は、モチベーションファクターを見極める演習に参加した各業界の各職位529人の演習結果をまとめたものだ。たとえば「公私調和」ということにモチベーションが上がりやすい人は18.0%、「自律裁量」ということにモチベーションが上がりやすい人は17.2%である。これらは良し悪しではない。人が自ずと持っている、モチベーションを左右する領域だ。

 そして、タイプごとに好む管理方法は異なる。一律規制、特に消灯を伴うような強硬手段は、「公私調和」をモチベーションファクターとする人に対してはモチベーションを上げる方向に効果があるだろうが、「自律裁量」をモチベーションファクターとする人の意欲は減殺するに違いないということだ。

 もう少し大括りにすれば、「他者協調」「安定保障」「公私調和」の3タイプは「調和志向」、「目標達成」「自律裁量」「地位権限」の3タイプは「牽引志向」と言うことができる。業種ごとに差はあるものの、平均すれば「調和志向」社員と「牽引志向」社員の割合はおよそ半々だろう。

 この「調和志向」の人たちには、一斉消灯のようなやり方は有効かもしれない。ところが、「牽引志向」を持つ人のモチベーションアップには役に立たないどころか、ネガティブインパクトを及ぼすだろう。